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人材を発掘する多彩な活動、原点は保護司の祖父
株式会社キープレイヤーズ 高野 秀敏 - MOVの100人インタビュー

--まずは簡単な自己紹介をお願いします。
高野秀敏(たかの・ひでとし)、出身は宮城県です。最初は人材サービスの株式会社インテリジェンス(現・パーソルキャリア株式会社)に入社し、6年勤めました。2005年に人材紹介の株式会社キープレイヤーズを設立し、運営しています。
また、不動産投資や株式投資を行っていて、投資先企業は70社から80社くらい、その中でIPOをしたのは9社。さらにその他に、顧問や社外取締役を引き受けている会社が30社ほどあります。パブリックな活動としては、オンラインサロン運営、東北大学特任教授、文科省アントレプレナーシップ推進大使が主な役職です。
それから今最もホットなのが、2024年11月に発売された著書『ベンチャーの作法 「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術』のことです。
今、僕は3.2万部のベストセラー作家なんですよ!続々とセミナー依頼が来ています。これまで言語化されていなかったものを言語化した本なのです。
--人材紹介から特任教授、執筆まで多くのことをしていますが、共通点は何ですか?

社名にもしている「キープレイヤー」、可能性を発掘するということです。
祖父が保護司をしていて、僕は犯罪経験がある人たちが出入りする中で育ちました。特に印象に残っているのは、ある日訪れた1組の男女のことです。
男性はかつて罪を犯し、執行猶予になりました。そのときに祖父に出会い、これからは真面目に誠実に、正直に生きましょうと真剣に教えてもらったそうです。
心を入れ替えてそのとおりに生きたところ、仕事もでき、結婚したいと思えるような人に出会い、過去の罪のことを話してもなお、相手からも結婚したいと言ってもらえました。
しかしその人には両親がなく、結婚の報告をする人がいないので、世話になった祖父に報告に来たというのでした。子ども心に、祖父がその人に強い影響を与えたということが伝わり、衝撃を受けました。これが僕の原体験です。
罪を犯しても、誰かの影響を受けて立ち直る余地があります。すべての人はすばらしく、可能性に満ちているのです。その可能性を発掘することが自分の人生のテーマだと考えています。
--多くの会社と接して来て、成功するのはどんな会社ですか?

人を育てるといっても、能力が何倍にもなるわけではありません。
つまり、人が大きく育ったように見える場合は、会社のしくみづくりがうまいのです。成長する会社はどこも、儲かる人材活用モデル、「勝ちパターン」を作っています。
とはいえ、パターンさえできれば成功するわけではありません。どこかの会社が1000億円を達成した後で、後発企業がそこに追いつくのは難しい。
同じことをする人がいなければ成功しますが、誰かと同じことをするのであれば、能力と規模がないと勝てません。
成功するのは、いつ参入したのか、誰と行っているのか、どの領域を扱っているのかの3つの要素が良い方向に揃うときです。
逆に言えば、部分的にでも競合が少ないニッチな部分を見つけることができれば、あとはしくみ次第で成功できる余地がありますよ。
--プライベートではどんなことをしていますか?

今49歳で、健康を維持するために食事や睡眠をとったり、少しでも運動をしたりといったことを心がけています。
また、風水が好きで、玄関の前は何も置かないようにしたり、邪気を払うという観葉植物を置いたりし、重要な局面では風水師に見てもらうこともあります。
僕は何かと、ものごとを悩んでしまうタイプです。でもどんなに悩んでも、努力するのは当たり前として、その先については環境や運の要素もあり、ままならないことが多いですよね。
やはりそういう観点もあってか、風水のようなものを気にする経営者は多いと思います。もはや最近では、仕事やプライベートそのものよりも、運気のほうが気になるほどです。
--年齢を重ねて、他にも何か変わったことがありますか?

若い頃とは、仕事の仕方も変わったと思います。
以前は、お客さんや紹介される本人よりも熱心に採用や転職を考えようとしていました。
今はもっと達観していて、こちらの情熱があってもなくても、なるようになるという気持ちです。これは決して熱意を失ったという意味ではありません。
僕はある意味で才能があって、本気でマッチングさせようと思えば、当事者が自分の意思で納得して選ぶように持ち込んで成立させることができてしまいます。
でも、少し無理をして成立させたマッチングは、僕にとっては売上になりますが、お客さんにとっては中長期的に見て損になってしまうことが多いのです。
熱心に成立させようとするよりも、冷静にその場でのベストを尽くすほうが、自然に成立すべきマッチングが成立するでしょう。
むしろ今では、熱心にならないとできないような仕事は受けるべきではないと考えています。
--今後はどのように活動しますか?

今、興味があるのはホスピスや介護の分野です。介護で儲かっている会社は少ないのですが、僕の周りで後継を頼まれて引き受けた人は全員黒字化しています。
それというのも、黒字化に向けた地道な経営努力ができない事業者が多いからなのです。
働く人の無駄をなくし、使用する物品を適正に選び適切に保管する、そういう当たり前のことこそ難しいですね。
また、ホスピスは自由診療なので利益を出しやすく、実際に成功している会社もあります。ただどちらにしても、僕が仮に参画したところで、ずっとそこに注力してはいられないのが課題です。
--MOVはどのように利用していますか?
ナイト&ホリデーメンバーですが、実はコロナ禍以降、利用はかなり減ってしまいました。パソコンを2台使っての音声ミーティングが多いので、持ち運びにくいのも要因です。
そもそもコロナ禍以来、外に出て対面で人と会うということがほとんどなくなりました。会社単位での顧問・採用コンサルティングなどの仕事が増えて、個別の人の対応をすること自体が減ったこともあります。
対面であれば20分で切り上げるのはかえって失礼ですが、オンラインなら20分だけ顔合わせをして、あとで質問があればチャットしてもらうといったことも普通なので、便利ですよね。
でもMOVは本当に居心地が良いので、渋谷に住んでいれば毎日行きたいくらいです。便利なオンラインミーティングとは別の良さがあると思います。コロナ禍も落ち着いたので、今後はMOVを訪れる回数も復活させ、人と出会う機会にしたいですね。
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