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モノの貸し借りで「体験」もシェアできる社会をつくる
ー アリススタイル・村本理恵子さんにインタビュー
今から4年前、はじめてお会いしてお仕事の話をうかがったとき、そのサービスはこれから立ち上げるという段階だったけれど「これはね、ぜったい成功するんです」と、さらりとおっしゃっていた村本 理恵子(ピーステックラボ代表取締役)さん。
サービスの名は『アリススタイル』。スタートアップであるピーステックラボが企画開発した個人間でモノの貸し借りが簡単にできるアプリで、家の中で眠ってるモノを持っている人と、購入前に試してみたいなと思ってる人を繋げるシェアリングサービスだ。村本さんにサービスがうまれたきっかけをきいてみた。
モノを買って置いておくのって邪魔じゃない?買ってもほとんど使わなかったり。それならもうちょっとお金の使い方を賢くできないかな、と思ったんです。それに、お金持ちじゃないからって楽しみを捨てるのは悲しいじゃないですか。ちょっとした変化で毎日を楽しくしたい、あきらめないで体験を育んでいける社会があるといいなと。
"モノではなくコト"という、今の風潮にもぴったりマッチする『アリススタイル』が評価され、村本さんは、2021年『日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー』(2001年に続いて2度目)を受賞した。受賞の感想はというと、
ありがたいな、と思います。ただ、2001年(1回目)のときには感じなかったんですけど、ウーマンってなんとなく違和感があって。事務局の人にマン・オブ・ザイヤーはないの?って聞いちゃったんですけど。笑。女性だけ集めてがんばってる人を選ぶより、もうみんな一緒で、パーソン・オブ・ザ・イヤーでいいですよね。
自分自身はロールモデルとか考えて生きていないです。こういうことをやりたいなっていう気持ちに素直に行動してきて、振り返ってみると10年区切りで新しいことをやっていた。結果ですね。
ひとつのことをはじめて、カタチになって、ある程度安定してくるのが10年だと思うんですよね、何事も。今までにないことを創り出していきたいというモチベーションが強いので、そのくらいで次にやりたいことが思いつくというか。
10年後の自分って考えたことないです。これまでも、転職しようと思って探したことはなくて、たまたまのご縁で出会った人に声をかけてもらって、新しいことに挑戦してきたんです。先が分からないほうが好きですね。
自分で目標を決めちゃうと、その枠の中でしか発想がでてこない気がするんです。枠がなければ、もっと違うおもしろいところに行けるかもしれないじゃないですか。
まわりへの感謝にあふれる村本さんが60歳をすぎて、"まだもうひとつやれる"と、はじめて自ら企画発案したのが『アリススタイル』。今度は誘う側になるわけだが、どうやって参画者を増やしていったのか。
チーム作りはwin-winの関係をつくれるかどうか。プレゼンに行く会社の課題点をあらかじめ予測して、自分たちと組むことでこういう価値が創れますという提案を必ず入れます。いかに相手に自分ごとにしてもえるかが大事なので、それをひたすら一生懸命考えますね。
自社サービスの素晴らしさをアピールするだけでなく、相手を巻き込んだプレゼンをしていると、相手の目の色がかわる一瞬があるのだそう。そうなったらあとは、提案したことを実現していけるかいけないか。ベンチャーだろうと大企業と対等に渡り合うにはそれしかないという。どこまでも潔い村本さん、ぜんぜん相手にされないこともあったというが、落ち込んだりはしないのか..?
落ち込まないですね。笑。落ち込むのは、自分が大事だからで。自分がどう見られているか、どういう地位か、そういうことを気にしているうちは、ベクトルは自分に向いている。ところが世の中はその通りにはいかないじゃないですか。そこのギャップがストレスだったり。ベクトルが外へむいたときに気持ちが楽になったんです。
思考のトレーニングを続けてるうちに、今ではそれが普通になりましたね。いつも今の自分がいちばんいい、楽しいと思ってます。昔はカッコ悪かったなぁ、未熟だったなあって。
最後に、4年前の「成功するわよ」発言についてうかがってみた。
謎の自信ですよね。笑。でも成功するわよっていうのは、させるぞっていう意思でしかないんです。
まさに有言実行タイプ。環境に感謝し、日々を楽しみ、出会いを大切にする。歳なりに振る舞おうなんて考えなくてよくて、知らないことには素直にワクワクする。そんな村本さんの座右の銘は、惜しみなく愛をあたえる。だった。かっこいい。
モノもひとも、しっくりくる環境やシーンがきっとある。日々が単調だなとか、なんだかうまくいかないなと感じているなら、村本さんの惜しみない愛の具現化『アリススタイル』で気になってたものをレンタルしてみてはどうだろう。自覚のなかった趣味や特技がみつかったりもするそうなので(村本さんはカメラ好きが発覚したそう)、いつのまにか気分があがっているかも。しかも低コスト。そんな社会があたり前になったら、最高じゃないですか?
*この記事は2021年2月20日にオンライン配信した『緊急特番MOV市』より、インタビュー【人生100年時代は10等分して考える!?】から抜粋したものです。インタビューの全編はぜひ動画でどうぞ!