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世界初!誰もが楽しめるカラフルなクッキー生地『coloridoh』で世界中の人々を笑顔にしたい。竹内ひとみさんにインタビュー
2023年2月25日に開催したシードステージ限定ピッチイベント『登龍モヴ』で、優勝されたcoloridoh(コロリドー)代表 竹内ひとみさんにインタビュー。
事業アイデアは、 世界初!"誰もが"楽しめるカラフルなクッキー生地『coloridoh』で世界中の人々を笑顔にしたい。 というもの。クッキー生地は野菜や果物で着色されていて安心、粘土のように遊びながら焼くだけでおいしく食べられ、素材はアレルギーフリーでビーガンでもOKと、文字通り"誰もが"楽しいプロダクト。
プロダクトの素晴らしさもさることながら、会場のみなさんを魅了したのは、ピッチから伝わる竹内さんの明るくポジティブなパワーでした。インタビューでは竹内さんのキャリアとパワーの源について伺います。
子育て中でも仕事がしたい!
→未経験だった食のお仕事に活路を見出す
結婚前までは、ベンチャー企業の営業としてバリバリお仕事をされていた竹内さんでしたが、時間が不規則なことも多く、妊娠後は続行不可能に。それでも働くことが大好きな竹内さんは...
食育とかフードコーディネーターの資格をいくつか取得しました。料理は好きだったし、家族のためにもなる。この知識が無駄になることはないだろうなと思ったから。試しに、いくつかのアイデア料理コンテストに応募してみたら、すべて賞をもらうことができたんです。
すごい...!
それまで料理関連の職につくとは思ってもみなかったんですが、アイデアレシピとかコーディネートなら仕事にできるかもしれない、と。それでクッキングスタジオの講師募集に応募したら採用いただけて。2年ほど教えていました。
退職後、子どもの幼稚園で知り合ったママ友たちと、自宅で小さな料理教室をしていたら、そのつながりで、広告タイアップのレシピをお願いしていただけたり。ほぼ毎月、雑誌にアイデア料理を掲載している時期もありました。
その間も絶賛子育て中ですよね?
私自身が4人兄弟の長女なので、子育てにはちょっとだけ経験もあって、少し余裕があったのと、なにより出産後に初めて"働かない"状態になったら、もうウズウズしてしまって。どうしても働きたい気持ちがあったんですね。自分自身がまず笑顔でいられることが、子どもたちにとっても大事だな、と思ったんです。
いよいよ第一線に復帰!?
→立ちはだかる障壁に、起業を決意
お子さんが4人いらっしゃる竹内さん。第一子を妊娠してから約10年間、お腹の中か外にいつも赤ちゃんがいる生活だったそうです。40歳になり、いよいよ本格的な復職を目指しましたが...
転職サイトに書いてある条件は、"大卒以上・35歳まで"ばっかりで!昔の営業成績なんて見てももらえず、キャリアはただのブランクになってしまって。"4人の子持ちの主婦"という肩書きになると、面接すらしてもらえなかったんです。もうほんっとうに悔しくて。
夫の仕事も難しい時期で、生活改善のためにも働きたかったですし、正直、新卒よりモチベーションあるぞ!って思ってるのに。笑。
たしかに、ものすごくバリバリ働いてくれそうな感じがします。
でも周りにも同じようなお母さんがたくさんいたんです。幼稚園の行事で一緒に作業すると、すごく優秀なのが伝わってくる方でも、子どものお受験に2~3年つきあったら職場に戻れなくなったとか。なんたる人材損失なんだ!と思って。
これは世の中を変えなきゃいけない!でもそんな大それたこと、今の自分にはできない。だったら"起業"して、知名度や影響力をあげたらいいのかなと思いました。"起業"を意識したのはそのときですね。
心機一転、家族で渡米!
→温かいつながりのなかで『coloridoh』が誕生
復職活動が難航する中、ご主人に「シリコンバレーで挑戦したい」と相談された竹内さんは、家族揃ってアメリカに移住することを決めます。その挑戦も波乱だらけで...
夫はIT系のニュースメディアを運営していて、シリコンバレーという土地に魅力を感じていたのですが、全く英語は話せませんでした。家族全員、話せないままいきなり渡米したんです。笑
現地にいるスタートアップとのネットワーキングもままならなかったのと、日本と比べて家賃が高すぎることもあって、渡米後すぐにスタートアップやエンジニアに特化したシェアハウスをスタートしました。ゲストがいる中で、自分たちだけ食事をするのもなんとなく気が引けるし、どうせやるならみんなと一緒に楽しく食事をしたくて、毎日20人分の食事を朝昼晩作ってました。
食事つきなんて、なんて素敵なシェアハウス!そうとう喜ばれたんじゃないですか?
すっごく喜ばれましたよ。そのかわり家事の量もものすごかったです。ほぼ毎日、朝6:00から夜中の2:00くらいまで、食事、買い物、掃除、洗濯に加えて、子どもやゲストの送り迎えなどなど、とにかく動いていました。特に食事は、みんなたくさん食べるし、宗教やアレルギー、ビーガンなど食べられるものも違ったので、鍛えられましたね。
長く滞在しているゲストたちは家族みたいになって。いつも働いている私の代わりに、子どもたちの宿題をみてくれたり、遊びに連れて行ってくれたり、誕生日やクリスマスにはプレゼントをくれたり!自分たちでしてあげられなかったので、ほんとうに助かりました。
そんな超多忙のなかで『coloridoh』のアイデアを形にされるって、ほんとうにすごいパワーですよね。
移住する前から起業しようと思っていたので、いつも頭の中ではシミュレーションしてました。これだとスケールしないかなとか、あったらいいけど開発費が高いなとか。そんなときにふっと、遊んで食べられるクッキー生地というアイデアが降りてきたんです。
生地はアレルギーフリーにして、ビーガンでも食べられるように野菜や果物で着色する。これって世界初じゃない!?と思って、いろんな言語で調べてみても出てこなくて。これならいける!と思ってアメリカで登記したんです。
いよいよ日本で『coloridoh』をローンチ
→世界中の人々を笑顔にしたい!
「お姉ちゃんならできると思う」と、妹さんが出資してくれた100万円を元手に、開発がスタート。ビジネスや経営について学ぶためにY コンビネーターのオンライン・スタートアップスクールも受講されたそうです。その後、クラウドファンディングから始まった『coloridoh』の挑戦は、予想を上回る反響で目標額を達成。応援メッセージもたくさん寄せられ、いざお届けしようとしたところ...
アメリカには冷蔵輸送がなかったんですよ!試しに冷凍ケーキを通販してみたら普通のパッケージに山ほど保冷剤が入った状態で届いて。コストを考えたらこんな発送はできないし、食べ物なので常温で送るのも怖いじゃないですか。そこから材料を検討し直して。常温でも安全で、納得のできる味になるまでに、過去の特許や文献を調べて、調合や水分量を調整しながら...もうサイエンスでしたね。
開発の途中で帰国することになってしまって、『coloridoh』は日本が本格デビューだそうですね。反響はどうですか?
今は主に、ファーマーズマーケットなどに出店しているんですが、とにかくみなさんがびっくりしてくださって。SNSなどでも「こんなのほしかったです」ってコメントくださるのが嬉しいですね。でも、私的にはまだまだクオリティをあげたいなと思っています。
海外進出も考えていらっしゃいますか?
やっと商品になるかなという頃に帰国することになってしまったんですが、アメリカはアレルギーに対する興味関心も高いですし、プロダクトの市場的にも海外の方がマッチするかなと思っているので、できれば年内にはアメリカでローンチしたいです。
おいしいものって人を幸せにできるじゃないですか。おいしいものを作るとみんなが喜んでくれる。それは、ずっと私のモチベーションの源です。それを世界に広めていきたいですね。
子育てをキャリアに!
→大切なのは愛と笑い
ゼロからイチを生み出すことが活動のベースだという竹内さん。『coloridoh』を世界に送り出すことができたら、つぎに挑戦したいことがあるそうで...
子育てをキャリアとしてポジティブに可視化するというのが夢なんです。子どもと関わると、マルチタスクになるし、対応力が求められるし、人間的にも優しくなる。これを企業内で考えたら、パフォーマンスもよくなって、マネジメント力が高まる。
この人間としての成長を可視化できれば、男性ももっと育児に積極的になれるんじゃないかな。というのを、これだけの熱量を持ってできるのは、私だけじゃないかとも思っています。
なるほど...!仕事と育児は両立させるというより、イコールなんですね。そのなかで大切にしてらっしゃることってなんでしょうか。
仕事と育児...というか私が人生で大切にしているのは「愛と笑い」だけなんですよ。
もちろん真面目にしなきゃいけないときもあると思うんですけど、日常の中で、笑って受け流せば済むような話っていっぱいあると思うんですよね。真面目に受け止めて、喧嘩になったり険悪になることって山ほどあるから。
お話を伺っていても、愛と笑いの方なんだなというのがすごく伝わってきました。
そういう精神は、子どもたちにも伝わるといいなと思っていたんですが、1年半前に突然帰国することになったときも、みんなワクワクしながらついてきてくれて。ほんとうにノリがいいんですよ、笑。しっかり受け継いで、たくましく育ってくれていると思います。
最近では、起業家としてトークセッションにご登壇されたり、『coloridoh』を通じたキッズワークショップや育児のお悩み相談なども開催されています。少しずつ夢をカタチにされていく竹内さんを、MOVは今後も発信していきます!