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2019.09.13
秋の風物詩『石川ひやおろし』の魅力を伝えるWEBサービス SAKELOGYにインタビュー
『ひやおろし』というのをご存知ですか?
わくわく、そわそわした方は、きっと日本酒が好きな方ですね。『ひやおろし』とは、冬の寒い時期に醸造した清酒を夏が越えるまで熟成させ、秋になって"冷や"のまま"卸す"、まろやかで味わい深い仕上がりのお酒。秋の風物詩ともいわれていて、愛好家もたくさんいるのだそうです。
なかでもこの秋のお酒が、年間を通して人気だという石川県では、各蔵元の『ひやおろし』だけを集めた『石川ひやおろし』キャンペーンを展開。その特設WEBサイトが9月13日の解禁日にあわせてリリースされました。
QRコードを読み込むだけで、県内で一斉販売される『石川ひやおろし』全28銘柄の、飲めるお店と買えるお店が紹介されているこちらのサイト。Google mapには一目でわかるアイコンで場所が記されていて、日・英の言語切り替えもワンタップ。興味があるものの、いったいどこで『ひやおろし』が味わえるのか、というジレンマをスマートに解決してくれるツールになっています。
さらに特筆すべきは、お酒に関する情報量!各銘柄の詳細なデータはもちろん、提供しているお店のオススメ料理と相性のよい日本酒をペアリングできる機能まで搭載されているのです。
愛好家にとっても、たった今興味が湧いてきた方にも便利なこのサイト。監修しているのは、日本酒に特化したWEBサービスを展開している SAKELOGY(サケロジー)さんです。
なかなか販売店まで声を届けられない蔵元さん、店頭での接客に不安があるなという飲食店さん、なにをどう飲んだらいいのかわからない消費者。みんなを繋げてハッピーにしてくれるのがSAKELOGY のサービスです。今回は、株式会社SAKELOGY代表の星野翠(ほしの みどり)さんにお話を伺いました。
蔵元さんの思いを直接エンドユーザーに伝えたい
- MOV:
- SAKELOGYは、日本酒に関する情報を、接客のサポートとして有料で提供するサービスということですが、他のサービスとの違いはなんですか?
- 星野:
- わたしたちのサービスは日本酒のデータそのもの。他社さんと違うのは、そのデータを蔵元さんから直接集めているところです。ラベルには載っていないところまで伺って、蔵元さんの思いをダイレクトにエンドユーザーに伝えたいというところが強い。今は、石川のお酒だけでも500銘柄の登録がありますが、その情報の質、正しさにはこだわっています。
- MOV:
- これ、アプリじゃないところがすごく良いですよね。
- 星野:
- そうなんです!やっぱり飲食店でさっとみれるようにしないと。アプリをダウンロードとかってわたし絶対しないので。笑。
サービスの源はおせっかい心
- MOV:
- もともとは、インバウンド向けのサービスとしてはじめられたそうですね。
- 星野:
- そうです。以前、民泊を経営していたとき、アテンドしていた海外からのお客さまのうち、2人に1人は日本酒が飲みたいっていうんですよね。興味あるという方がほんとにたくさんいて。
日本酒って、海外の人が喜ぶコンテンツに溢れてるんです。お米とお水と米麹から、なんであんなに華やかな香りが生まれるのかとか。なんで白く濁るのか、なんでこんなに味のないものから、味が生まれるの?とか。いまだに人の手でつくってることや、全国に蔵が1500軒もあって、なかには400年以上の歴史をもつ蔵もあるということも。
一つ一つの銘柄がもつストーリーって、飲食店にいってもメニュー表にはでてないじゃないですか。そういう情報を消費者が知ることができたら、もっと飲む人が増えるんじゃないか、もっとファンが増えるよねっていう、すごいシンプルな思いです。その、おせっかい心がサービス化につながったという。笑。
若者の飲酒離れや、飲酒運転の厳罰化に伴う家飲み派の増加など、様々な理由から日本酒離れがおきていて、戦後のピーク時にくらべると日本酒の出荷量は1/3にまで落ち込んでいるのだという。
利き酒師に準ずる!SAKELOGYのすごいところ
- MOV:
- 蔵元さんと飲食店さん、双方のメリットはなんでしょうか?
- 星野:
- 蔵元さんとしては、情報がダイレクトに消費者に伝わることです。いただいた情報の翻訳や瓶の画像データといった、サービスで提供する素材も無償でお渡ししています。ゆくゆくは消費者が実際にペアアリングした記録などを、商品開発や販促に役立てていただくことも考えています。
飲食店さんは、仕入れている日本酒のすべての特徴を覚えるのって大変ですよね。でもSAKELOGYを使っていただくと、利き酒師に準じた接客が可能になります。詳細な情報や、日本酒のビギナーでも日本酒を選びやすい仕組みがあるから、お客さんがどんどんお酒を頼んでくれるようになる。英語も含めたメニュー表の作成や、そのお店の料理とのペアリングまで対応しています。
石川県のポテンシャルを信じて移住の決断
- MOV:
- いちばん難しかった部分はどんなところですか?
- 星野:
- 蔵元さんのご協力を得るっていうことですかね。開発は自分たちの力量問題じゃないですか。時間かけたらなんとかなるし。でも蔵元さんには、最初はほんとに登録すらしてもらえなくて。そもそも県外の会社でITとかよくわからないし、歴史もなくて信用できるのかっていうガチガチのガードがありました。
- MOV:
- そこから「やってみよう」って一歩踏み込んでもらえたキッカケはなんだったんですか?
- 星野:
- いやもう、あまりにしつこかったからじゃないですか。笑。石川に行くって決めたとき(星野さんなんと石川に移住済み!)には、石川の蔵元さんには1蔵も登録してもらえてなかったんですよ。去年の8月に全国1500蔵ぜんぶにDMを送って、100蔵くらいお返事があったなかで、石川県は1蔵も返ってこなかった。でも石川県には絶対ポテンシャルあると思って。
- 星野:
- そこから1蔵1蔵アポをとって、話を聞いてもらって。やっと1銘柄を登録してもらえてからも5回6回と足を運んで。半年かけて1銘柄を登録してもらえたこともありました。最後はやっぱり人と人ですれ違いを紐解いていくっていう。
- MOV:
- すごい熱意ですね。お人柄もあるんでしょうね。
- 星野:
- 「こいつ、いうこときかんとずっと来るぞ」と思ったんじゃないですかね。笑。でも半年それをやって500銘柄達成ですからね。半年やればできるんだって思いました。
日本酒のファン予備軍にむけて
- MOV:
- では逆に、やってよかったな、ということは?
- 星野:
- SAKELOGYのサービスは、コアな日本酒ファン向けというよりは、日本酒には興味あるけど、ファンになる前にモヤモヤしてる人たち向けのサービスなんです。お作法を知らなかったり、メニューをみても内容が理解できなかったり、何を選んでいいのかわからなかったり。
なので、そういう方から日本酒が選びやすくなったという声を聞くことができたときは嬉しかったですね。そうやって喜んでもらえることが、そもそもやりたかったことなので、それが目に見えるっていうことが嬉しいです。あとは最初は門前払いだった蔵元さんからも応援をしていただけるようになってきたことですね。
情報量の拡大と飲みやすい環境づくりを目指して
- MOV:
- 今後の展望を教えてください。
- 星野:
- 今は石川県のみで展開しているSAKELOGYのサービスを、北陸地域、関西地域、ゆくゆくは全国へと展開していくことです。そうなるとSAKELOGYは日本酒のデータでナンバーワンの企業になります。
あとは、飲んで美味しいと思っても、どこで買えるかわからなくて機会損失につながってると思うんですね。それを、購入できる機能を加えることで解決したい。普段の生活の中で、美味しい日本酒が買いやすいか、というとそうでもない。飲食店でたまたま出会った美味しい日本酒を、購入したくてもどこで買えるかわからないし。そういう日本酒のハードルを少なくして、日本酒を飲む人をもっと増やしたいと思っています。
10代の頃から海外での生活が長かったという星野さん。その頃から、今はないものをつくってみんなをハッピーにしたい、社会を変えられる大人になりたいと思っていたそう。日本のことを聞かれる機会も多く、無意識のうちに全国を紹介できるようトレーニングされていたことから、日本の魅力や海外の人が喜ぶポイントがわかってきたそうです。
そんな星野さんの経歴もぎゅっと集約されたSAKELOGY。体験してみたくなってきた方は、ぜひ丸の内へ。今月29日まで、石川県の地酒を丸の内で楽しむ『いしかわサケマルシェ』が丸の内ハウスで開催中です。
配布されているリーフレットのQRコードを読み込むと、SAKELOGYの情報ページが閲覧できちゃいます。掲載料に限界のある紙の資材ではお伝えしきれない日本酒の魅力が詰まった、SAKELOGYの圧倒的な情報量を、ぜひ体感してみてください。