announcements interviews MOV
Channel
post small_talk

これからは"間をつなぐ人"が、世の中をもっと面白くする。
ーVivid Creations 齋藤真帆さん


日本で発祥し世界に広まった『リアル脱出ゲーム』。シンガポールでは、島全土を巻き込む一大ブームになっていたってご存知でしたか?

この『リアル脱出ゲーム』をはじめとした、日本の魅力的なコンテンツのシンガポール進出、さらには、海外へ進出したい日系企業や自治体のサポートをしているのが、シンガポールと東京を拠点に活動する "謎"な会社 Vivid Creationsです。今回はVivid Creations代表の齋藤真帆(さいとう・まほ)さんへインタビュー。

齋藤さん①.jpg

齋藤さんは、「海外に住みたい!」と2006年にシンガポールの日系企業に就職。独立後、フリーランス期間を経て、はじめての起業をシンガポールで実行した行動力と決断力があふれる敏腕ビジネス・ウーマン

インタビューでは、一念発起で起業した背景や仕事内容、あまり知られていないシンガポール事情など、たっぷりお話していただきました。

シンガポールでスムーズに起業
真逆の国だからこそ、融合したらおもしろいと思った

ーーー
シンガポールと日本を拠点に活動する"謎"な会社、っていきなり興味深いのですが、ぜひ、その"謎"な会社とお仕事について、詳しく教えてください!
齋藤:
シンガポールをメインに、日本から海外へ進出される企業さんや自治体さんが、現地に向けてプロモーションをする際のマーケティング全般をサポートしています。どういう手法で、どういう風に伝えていくのがベストかっていうのを、一緒に企画から考えて実施するまで。デザインやイベント、展示会など、内容も幅広くやらせていただいてます。

2009年にシンガポールで会社を立ち上げて、営業拠点として東京に法人を作ったのが2015年。いまは、シンガポールと東京を行き来する毎日です。
齋藤さん2.jpg

ーーー
そもそも、シンガポールで起業したきっかけは?
齋藤:
わたしが、もともとシンガポールで働いてたんです。

シンガポールって、意外かもしれませんが、まだ建国50周年ぐらいの若い国なんです。スピード感をもって発展してきたんですけど、歴史が浅いが故に、日本みたいに培ってきた自国の文化や商品っていうのがない。だから、シンガポールは海外のいいモノをほっしています。

対して日本は、昔から根付いた文化があって、いろんな知恵と工夫から生まれた商品があります。でも、国内市場の競争が結構大変で、日本のいいモノをもっと海外に輸出したがってる。

日本とシンガポールは、お互いもっているものは違うし、融合したら面白いなって生活する中で感じていて。2つの国をうまくつなげれば、ビジネスが色んな所でうまく発生するんじゃないかな、と勤めていた会社を辞めて、起業しました。
ーーー
いきなり外国で起業するって、すごい勇気のいる決断じゃありませんでしたか?
齋藤:
シンガポールっていう、外国の人にもすごくチャンスを与えてくれる国だったからできたんだと思います。外から入ってきた人にもオープンだし、海外のいいものに対してもオープンだし、いいものが見つかると、すぐ方向転換できる。フットワークもものすごく軽くて、仕事がしやすかったんです。
齋藤さん③.jpg

齋藤:
しかもシンガポールは、女性の方がバリバリ仕事をするんですよ。男性と対等、もしくはそれ以上に女性が活躍していることが普通だから、わたしが会社を立ち上げるのには、なんの珍しさもないんです。だからこそ、心置きなく頑張れました。
ーーー
シンガポールの社会的風土が齋藤さんとぴったり合ってたんですね!
企業理念にされている"創造的な対話"というのが、とてもメッセージ性に富んでいて素敵だなと思ったのですが、より具体的にお話していただけますか?
斎藤さん4.jpg

齋藤:
ただ自分の伝えたいことを言い合うだけじゃ、自己主張で終ってしまう。進出したい側も受け入れたい側も、共通して一番大事なのは、本当に価値のあるものを一緒に作り出そうっていう意識です。それを元に、お互いの話をしていくことが対話だと思っていて。なのであえて、"創造的な"っていう言葉をいれています。

シンガポールと日本をメインに、異なる2つの国の"創造的な対話"をうまく促して、新しいビジネスを生むことが、わたしたちのミッションです。
斎藤さん5.jpg



ローカライズに必要なのは、
現地に合ったアプローチと経営者の本気

ーーー
少し専門的なことなんですが、東南アジアに進出したい企業にとって、シンガポールのマーケットはどんな風に注目されているんでしょうか?
齋藤:
東南アジアは、タイやインドを含めるとすごい人口になりますが、シンガポールだけだと人口も少なく、国自体も小さい。マーケット自体も大きいってことはないんです。



齋藤:
でも、東南アジアに向けて発信するときに、シンガポールは抑えておいたほうがいい国なんです。

何故かと言うと、国外の企業が現地でビジネスを始める上でかかる規制が、東南アジアの中で一番ゆるいとされているから。例えば、100%日本人の外資でも、現地パートナー無しで会社を作れるぐらい、ハードルが低いんです。

それに、自国の資源がほとんどないから、多くを輸入品に頼っている。モノの行き来はすごくあるので、関税のかからない倉庫も多いんです。あとは、日本よりもGDP(国内総生産)が高く、世界中から富裕層が集まってきているのも特徴です。

近未来都市感があるシンガポール。国民ひとりあたりのGDPは9万8014ドルで、なんと世界第4位!(出展:BusinessInsider)


齋藤:
シンガポールでお墨付きをもらえれば、富裕層も含め、東南アジアのいろんな国に輸出しやすい。登竜門的なかたちで、抑えておいたほうがいいマーケットなんです。
ーーー
そんなシンガポールで、日本の企業やプロダクトをローカライズするために、必要なことってなんでしょうか?
齋藤:
日本は、自分たちを売り込んだりとか、いいものをいいって大声で言わない文化があると思うんです。それは日本の美徳であり、素敵なカルチャーなんですが、海外に出ると通用しません。
いいものならいいって言われたほうがわかりやすい、っていう海外の文化には、アプローチ方法を変えないと伝わらない。そもそも市場がぜんぜん違うから、考え方を変えて、見せ方も変えていかないといけないですよね。
斎藤さん7.jpg

イベントでは、開場ギリギリまでスタッフさんと打ち合わせをする。キリッと凛々しい齋藤さん。


齋藤:
そういう意味で、進出したい国の文化を前もって知るっていうのはすごく大事なことです。根本的に相手を理解して、使ってくれる人たちをイメージしないと。わたしたちもお手伝いする上で、現地とのコミュニケーションを、なにより大事にしてほしいなと思ってます。
斎藤さん8.jpg

次にいかせることはないか、イベントでも現地の人のリアクションをよく見て分析する。


齋藤:
そういう意味で、わたしたちがシンガポールから拠点を変えないのも、現地にいてわかる情報や、感覚っていうのを大事にしたいからです。それをわかっていることが会社の価値ですし、日本でお話するときの説得力につながっていると思ってます。
ーーー
クライアントワークと並行して、自社発信でのイベントも開催していますよね。シンガポールへもっていく日系コンテンツの条件ってありますか?
齋藤:
自分たちが面白いと思うかどうかと、そのコンテンツをもっている人たちの意識を大切にしています。

コンテンツが魅力的で、自分たちがいいと思っていても、そのコンテンツを所有している方たちに「海外に出したい!」とやる気になっていただかないと。海外でなにかをやるって、途中で絶対に何か問題が発生するんです。そのときに、その方たちが本気でコミットしてくれなければ、たちいかなくなるし、乗り越えられませんから。
齋藤さん⑨.jpg

齋藤さん「そのコンテンツを所有している方たちがやる気になっていただかないと。どれだけまわりがサポートしてもなかなかうまくいきません」


齋藤:
コンテンツをもっている経営者の方の前向きなマインドを含めて、魅力的だと言えるかが基準ですね。
ーーー
ご自身たちのコンテンツじゃないからこそ、一方的な情熱だけでは難しいんですね。
齋藤:
そういった意味では、『リアル脱出ゲーム』はとてもいいタイミングで、コンテンツ・ホルダーのSCRAPさんに声をかけられたんです。
斎藤さん10.jpg

シンガポールで開催された「Escape from The Conspiracy -陰謀からの脱出-」メインビジュアル


齋藤:
わたしたちが、自分たちでコンテンツを見つけて発信したいと思っていたときに話題になっていたのが『リアル脱出ゲーム』。実際に日本でやってみたら、おもしろいし、日本語を英語にすればできるし、謎解きは、勉強が得意なシンガポールの人たちと相性がいいと感じたんです。

そのまますぐにSCRAPさんにお話したら、彼らも海外進出したいと思ってたところだったので、どんどん話が進みました。
斎藤さん11.jpg


斎藤さん12.jpg

会場はシンガポール全島!シンガポールのすべてを回れる、観光イベントとしての側面も。


齋藤:
そこから縁が続いて、いまはシンガポール以外の海外展開も、一緒に手がけさせていただいてます。


"間をつなぐ"人が増えれば、
世の中をもっとおもしろくなる

ーーー
シンガポールと日本をよく知る斎藤さん。これから目指したいところは?
齋藤:
わたしが仕事を始めたとき、シンガポールと日本って、なんでこんなに利害関係が一致しているのに、つながらないんだろう、つなげる人がいればもっと活性化するんじゃないかって感じていました。いまも、働き方をはじめ、どんどん多様化が進んでいく中で、"間"の存在って、もっと大切になっていくんじゃないかなと思っています。
ーーー
今回キーワードのように繰り返されている、"つなぐ"役割ですね。
齋藤:
そうです。
わたしはよく、人やモノや企業が、網の上に散り散りになっている様子をイメージしているんです。それを海外と日本っていうところまでフィールドを広げて俯瞰して見て、人・モノ・企業の"間"に介入することで、いままでなかったつながりを作る。そのつながりが世の中におもしろいことを起こすっていうのが、わたしが理想としている世界なんです。
齋藤さん13.jpg

Vivid Creationsでは、インターンやスタッフを募集中!


齋藤:
会社は、この"間"をつなげる役目の人を増やして、活躍できる場にしたい。わたしたちがひらすら"間"に入って働きかけることで、見ている人たちに「価値があるね」って認めてもらえたら、会社としてもいいし、そういうことをやりたいって人が増えると思ってます!

さまざまな企業やコンテンツをサポートする日々は、新しいことの連続。

「こういうことって、答えがないじゃないですか。だから、トライアル・アンド・エラーばっかり。それで日々過ぎているって感じ!」と朗らかに笑う齋藤さん。失敗を恐れて立ちすくむのではなく、視野を広く持ち、多様性を楽しみながら相手に寄り添って、つながりを育んでいく、やわらかな強さを感じました。

齋藤真帆さんとVivid Creationsの最新情報はこちらの公式Facebookページでチェック。