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2019.03.18
トークショー 顔が大きくなる箱への世界の反応 -- デイリーポータルZ 林雄司
「顔が大きくなる箱」をご存知だろうか。頭からかぶるだけで、誰もがおもしろい顔になれるというダンボール製の箱で、2016年のメイカーフェア東京に登場して以来、国内外で話題になっているアレだ。噂によると、どこかの学校の経済学の講義でも取りあげられたりしているらしい。
開発したのは、デイリーポータルZウェブマスター林雄司さん。今回は、この「顔が大きくなる箱」で世界の展示会を行脚してきた林さんに、各国での反応をご紹介いただいた。トークショーということで、ご本人的には「ちょっと癪だ」というまとめのいい話と、おもしろさについての考察も伺ったので、コンテンツ制作に行き詰まってる方は必見です。
個性があふれまくるライターのみなさん
*以下は2019年2月23日に開催されたMOV市 - Neighborland2019 - でのトークショーから書き起こしを含みます。
おもしろいことをしようとすると、つい背伸びしがちだ。結果、恥ずかしい感じで終わることも多々ある。インスタントな達成感と、内輪ウケのブーストを肝に命じ、次回MOV市に向けて精進していこうと思う。
ちなみに自分でこの箱をつくってみたい!という方、https://bigfacebox.net/につくり方が公開されていますので、ぜひ。
*MOV市とは..Creative Lounge MOVに集う、職種も年齢も国籍も様々なMOVメンバーたちのスキルやナレッジを体験型のブースで披露する、仕事と働き方の見本市です。
開発したのは、デイリーポータルZウェブマスター林雄司さん。今回は、この「顔が大きくなる箱」で世界の展示会を行脚してきた林さんに、各国での反応をご紹介いただいた。トークショーということで、ご本人的には「ちょっと癪だ」というまとめのいい話と、おもしろさについての考察も伺ったので、コンテンツ制作に行き詰まってる方は必見です。
*デイリーポータルZとは?
地味な仮装ほど讃えられる地味ハロウィンや、納豆を一万回混ぜたらどうなるか、など、身近でお金をかけない思いつきを試したりしながら、毎日記事を更新している、たのしいよみものサイトです。
2013年には、ショーケースaiiimaのオフィスを公開する企画「社会社見学」で、デイリーポータルZ移動編集部を開設。半年間ご利用いただきました。
地味な仮装ほど讃えられる地味ハロウィンや、納豆を一万回混ぜたらどうなるか、など、身近でお金をかけない思いつきを試したりしながら、毎日記事を更新している、たのしいよみものサイトです。
2013年には、ショーケースaiiimaのオフィスを公開する企画「社会社見学」で、デイリーポータルZ移動編集部を開設。半年間ご利用いただきました。
顔が大きくなる箱への世界の反応
踊りながら「おもしろいですねー」とお世辞をいうアメリカ人、より目をかまして「コンセプトは?」と聞いてくるヨーロッパの夫婦、鼻歌交じりにやってきて「一緒にビジネスにしよう」と誘ってくる中国のおじさん。「顔が大きくなる箱」を目の当たりにした世界の人々の反応については、ご本人の記事がだんぜんおもしろいので、まずはこちらをお読みください。こんないいことない、海外展示
- ーーそもそもなぜ国外進出したんですか?
- デイリーポータルZが事業譲渡されたり先が見えない感じになってきたので、海外に出てわかりやすい実績をつくった方がよさそうだなと思って。笑。なんだかんだいっても、海外っていまだに有効なんですよね。海外展示の報告会なんてイベントが成立するし、ウケたっていったってその場にいる人は誰も見てない。笑。
- ーー 日本のアーティストが海外のフェスでウケた!とかいうのも、実際に現地で見た日本人はいないってこともあるそう。
-
展示会ってけっこう申し込めば出られるんです。僕が出たなかでは、サウスバイサウスウエストだけかな、お金払ったの。あとはみんなタダ。中国のメイカーフェアとアルスエレクトロニカは招待でした。パリのメイカーフェアはむしろギャラももらえたりして。
申し込めば誰でも行けて、行ったよって自慢できて、誰も結果がわからない。こんないいことないなって。笑。
人を喜ばせたいという本能を刺激する箱
- ーー 世界をまわって、共通していた部分はありますか?
- この箱って、顔が大きくなるだけなんです。おもしろいことしてくださいとか、踊ってくださいとか、頼んでないんですけど、みんなおもしろい顔してるんですよね。どういう本能なのかわかんないですけど、反射的に人を笑わせたくなっちゃう箱みたいですね。
- ーー イベントにこの箱を持っていくと、かぶった現地の人は、自分がおもしろかったからって、次に来た人にもすすめてくれる。その場が勝手にまわりはじめるので、あんまり何にもしなくていいのだそう。
-
渋谷のファブスペースでこの箱をつくるワークショップをやったときも、最後にみんなでかぶって写真を撮ろうっていって渋谷の交差点に行ったら、つくった人が、そこにいた外国人観光客にどんどんかぶせはじめたんですよ。「レッツトライ」とかいって。
おもしろい物を人に貸して、その人が「わーっげらげら」ってなるのっておもしろいんですよね。まぁ僕もそれでやってるんですけど。「な!おもしろいだろ!?」っていう自慢げな気持ち。胡散臭い話ですけど、人は、そういう喜ばせたい本能があるのかもしれない。笑。ちょっといい話みたいで癪なんですけど、そういうところがあるのかなーと思ってます。
クセになる、インスタントな達成感
- おもしろい顔で人を笑わせるって、あんまりしないですよね。でも、これをかぶって人を見ると、みんな笑うんです。着ぐるみに入ってる感覚に近いのかも。。着ぐるみに入ると人って着ぐるみっぽい動きをするんですよね、頼まれてないのに。
- ーー 喜ばせたい本能ですね。
- 着ぐるみに入ったような気分でおどけると、みんなが寄ってくる。なおかつ自分のおもしろい仕草がウケる。反応が返ってくるっていう、インスタントな達成感が、クセになるのかなと思っていて。その達成感を味わえるということが、この箱をつくってよかったことですね。
子供がいちばん笑うのは親のおもしろい顔
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例えば、俺がかぶって顔が大きくなってどうですかーってやっててもそんなに笑わないんです。見てる子供に「やる?」っていうと「やらない」っていう。なので親に「やってみて」っていって親がかぶると、みんな火がついたみたいに笑うんですよね。
東京のメイカーフェアでは「お母さんそれ取らないで」って泣いてる子もいました。取らないでいいのか!本当に?笑。かぶると笑って、取ると泣く。おもしろかったんですけどお母さんの顔大きいままでいいのかな。笑。
やっぱり、知らない人がおもしろい顔になってるよりも、自分の親しい人がおもしろい顔になってるのが最高におもしろいんです。
最高なのは内輪ウケのブースト
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アプリで写真を盛ったり、ハロウィンとかも、あれ例えば、知らない人のミニオンズの仮装ってそんなおもしろくないじゃないですか。だけど、知ってる人だとおもしろい。カラオケとかもそうですよね。歌の上手い下手は全然どうでもいいんですけど、知ってる人のカラオケってやっぱおもしろい。
だからあんまり立派なことは考えなくてよくて。なにか物をつくるときは、なるべく、もとからある関係性に入っていける方がいいんだろうなと。内輪ウケをブーストするような装置がいいんでしょうね。
- ーー デイリーポータルZさんの記事でも、家の近所が写っているという場所的に近いものと、さっき撮ったばっかりという時間的に近いものがウケるのだそうだ。同様に、関係性の近さも大事だという。確かに、本人を知らないと、どこがおもしろいのかさっぱり分からないという場面は多い。
顔が大きくなる箱の次にくるのは?
- 顔が大きくなる箱から得た、達成感と内輪ウケっていうのを元に、次を考えてみました。
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✔ シンセサイザー腹太鼓
知り合いの宮城さんて人が、いつも腹を太鼓みたいに叩いていて、あれがシンセサイザーだったらおもしろいなーと。YMOみたいな電子音がする腹太鼓の装置をつくりたいんですけど、挫折してます。笑。
でもこれ成功したら、お父さんが腹叩くとへんな音する、みたいなのはまたメイカーフェアとかでいけそうだなーって。
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✔ 自動車くらいのマウスでソリティア
マウスを自動車くらい大きくしてソリティアをやりたいんです。そうすると、一人で操作できなくなるので、ボタン係と動かし係のチーム戦になるんですよね。Eスポーツになります。Eスポーツっていいたいだけですが。笑。
二人掛かりでやるんで、「右に動かすぞ」「いまだ、クリック!」とキャプテン翼のパス出してシュートみたいな雰囲気になるはずです。これは内輪ウケですよ。 -
✔ 名前の花火
金鳥の花火のように自分の名前で花火をつくりたい。これも簡単な達成感ですね。僕は林という名前で、林という花火だったらおもしろいなと思うんですけど、例えば吉田っていう人が「吉田」っていう花火の前に立ってたら、知り合いだったらおもしろいじゃないですか。
コンテンツは誰にでもわかりやすく!とかいいますけど、そうじゃなくて、狭いところ、仲良いところ、吉田グループとか、そんなのないんですけど。笑。もとからあるグループに向けてでもいいのかなって思ってます。
おもしろいことをしようとすると、つい背伸びしがちだ。結果、恥ずかしい感じで終わることも多々ある。インスタントな達成感と、内輪ウケのブーストを肝に命じ、次回MOV市に向けて精進していこうと思う。
ちなみに自分でこの箱をつくってみたい!という方、https://bigfacebox.net/につくり方が公開されていますので、ぜひ。
*MOV市とは..Creative Lounge MOVに集う、職種も年齢も国籍も様々なMOVメンバーたちのスキルやナレッジを体験型のブースで披露する、仕事と働き方の見本市です。