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シードステージ限定ピッチイベント『登龍モヴ』開催レポート!!!
2022年2月23日、コワーキングスペースMOVにて開催された『登龍モヴ』。
1年以内のローンチを目指すスタートアップ8組が、新規事業家 守屋 実氏、エンジェル投資家 高野 秀敏氏、コクヨ株式会社代表取締役 黒田 英邦氏、同社イノベーションセンター室室長 三浦 洋介氏ら審査員を前に、熱いピッチを披露しました。さまざまな視点から社会課題にアプローチしていたプレゼンを、モデレータを務めた千田 弘和氏と振り返ります。
そもそも『登龍モヴ』って
マネーの虎ならぬ『モヴーの虎』というピッチイベントを過去2回開催し、守屋さん高野さんからの投資を獲得されたり、コクヨ(MOVの運営母体はコクヨです)との協業につながったりする、素晴らしいスタートアップとの出会いに感銘をうけたMOVが、あらたに取り組むスタートアップ支援プログラムのひとつが『登龍モヴ』。優勝者には、オフィス支援、会社設立支援、メンタリング支援などの全面的なバックアップをご用意し、1年をかけて応援しながら刺激をもらおうという企画です。
- オンライン森林浴 森の湯(仮)
- お店にも地球にも優しい Tableware as a Service! Circloop
- お店と人を「心地良く」つなげる ホンネポスト
- マンションの営業が変わります! Ring-ndx株式会社
- 髪型は着せ替えできる 株式会社NEJIKO
- アフリカ農村部にデジタルプラットフォームを Dots for Inc.
- ゲームからはじめるNCDs予防アプローチ 合同会社Lean and Games
- 世界初の共同プログラミングで創造性を解き放つ 株式会社プログミー
オンライン森林浴 森の湯(仮)
ファーストピッチは、江藤元彦さん。森林には、ストレスや生活習慣病の原因を解消する力があることはわかっているけれど、出向くのは大変。一方で森林セラピー基地の、場所に頼った事業になってしまっているところを変革したい!というプレゼンでした。
森林セラピー基地2つ星を獲得してる、長野県信濃町に拠点をおいてサービスの展開を計画中。
今後は、オンラインで森林浴ができるコンテンツのほか、林業の方がプロダクト開発で関わることができたり、銭湯みたいなコミュニティをつくりたいというビジョンでしたね。
審査員の「誰を真っ先に癒してあげたいですか?」の問いに、自社の若手社員って回答してましたね。なにより、江藤さんはコクヨの新規事業に携わる部署にいて、こういった場所で社長や上司を前に、初めて自身で取り組んでいることを発表したってことに意味があるなあと。今後もこういう機会が増えていくといいですね。
お店にも地球にも優しい Tableware as a Service! Circloop
Circloop(サークループ)の中村周太さん。プラスティックの使い捨てが世界的に禁止されていく中での、代替えとなるサービスを提供したい!と。飲食店さんみんな困ってる問題ですね。
代替食器はコストがかかったり、回収・提供のオペレーションが回らなかったりするところを、店舗やギグワーカーの遊休時間を活用して解決するアイディアでした。
エシカルやサスティナブルをコンセプトにしている飲食店だけじゃなく、BBQ場などもターゲットにしているのが、なるほど!と思いました。
守屋さん(審査員)からは、ご自身の知見からエコノミクスが成り立つ規模感について具体的なアドバイスがありましたよね。この分野は今後重要で、おなじ思いを持って活動している方も多いと思うので、うまく横のつながりを広げてナレッジを共有していけたらいいですよね。
お店と人を「心地良く」つなげる ホンネポスト
もうすぐ起業予定という森木田剛さん。オフラインの店舗だと、お客さんの理解やインサイトを取得するのって難しいけど、提案するLINEコミュニケーションサービスをつかって、時間とコストをかけずにお客さんの本音を掴む!というプレゼン。
まずピッチとしての評価がみなさん高かったですね。ご本人も楽しそうでしたよね。
友達にチャットするような気軽さ、アンケートにはないお店の人とのコミュニケーションだったり、それが継続できるプロダクトなんだよという特徴が伝わりましたね。
すでに実証実験されてるみたいですけど、利用者の本音を引き出したいという意味では会員制の施設、例えばコワーキングスペースも親和性高いですよね。この機会にMOVで活用してみるのはいかがですか?
マンションの営業が変わります! Ring-ndx株式会社
リングニューディエックス、とお読みするそうです。登壇者は蔭山貴弘さん。マンション管理に必要な情報を一元化するサイト『RING』を開発、まさにいま特許取得中ということで。
マンションだと自分だけでは解決できない問題が結構ある。契約している管理会社では対応できないことだったり。誰に相談したらいいんだろうっていうところからお任せできちゃうシステムってことですね。
守屋さんから、情報が蓄積されたら金融業みたいな方にもいけるんじゃないかっていうコメントがあったけど、それはどういう..?
先々の話だと思いますが、入居とか修繕とか、マンションに関するあらゆるやりとりが蓄積されていくので、そのデータを活用すれば、金融や別のサービスにも展開することができそうですねと。そういうことまで視野に入れながら検討を進めて、解像度が高くなってからシステムをつくってもいいかもね、というアドバイスでしたね。これは確かに、と思いました。
髪型は着せ替えできる 株式会社NEJIKO
『ハゲップル』としてSNSで30万フォロワーを持つライバーさんでもある鶴丸美優さん。高校生の頃に発症した脱毛症が原因でウィッグ生活になり、そこから今回のビジネスに至るまでのストーリーがすごくリアルで共感できました。
ストーリーの部分で心打たれたという方が多かった。実はピッチに一番大切な部分ですよね。
既製のものに美容師さんが手を加えるとこんなに違うんだなっていうのも驚きでした。ショートの翌日ロングヘアとか。やりたい人はきっとたくさんいると思う。訳あって休業されてる美容師さんに仕事の機会をつくれるというのもいいですよね。
イベント終了後に、同じ挑戦者でありアフリカで事業を展開されているDots for Incの方(次に登場)と、アフリカでのウィッグビジネスの可能性について話が盛り上がっていたのが印象的でした。ここでの出会いからビジネスが発展していくと面白いですね。
アフリカ農村部にデジタルプラットフォームを Dots for Inc.
大場カルロスさん。農村部にインフラを整備しても採算がとれない通信会社と、インターネットに繋がらないから使わないという農村部の負のループを、メッシュネットワーキングという技術で低コストになんとかしたい!と。
ビジョンも素敵だし優秀なスタートアップという印象でした。実現したら、8億人のアフリカ農村のデジタル経済圏が誕生!
ICT推進に積極的というベナンを選んでいることや、土地のエージェントとして力のある村長みたいな人から発進していくというのも、アフリカ事情に精通されてるんだなと思いました。
まずはサーバーに設置したコンテンツをイントラネットで閲覧させることでスマホの需要を喚起して、その先でインターネットにも接続させていくということでしたね。すでにマネタイズも見えてきていて、今後が非常に楽しみです。
ゲームからはじめるNCDs予防アプローチ 合同会社Lean and Games
ピッチは代表の川崎誠一さん。運動や食事制限って続かないけど、ポケモンにはまって減量に成功した原体験をもとに、楽しみながら健康になれる仕組みをつくりたい!というプレゼン。非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を減少させて、精神保健を促進するアイディア。
世界中のアルコールに依存する問題を、ハイパーカジュアルゲームで遊ぶことによって、報酬系回路の刺激を代替して解決しようというものでした。
予防のためにするんじゃなくて、遊ぶため、エンタメを通じて継続率を高めようということですね。
川崎さんのご経験に基づく「ゲームが持つ力」へのピュアな想いを感じたので、ぜひこのまま突き進んでいただきたいですね。
世界初の共同プログラミングで創造性を解き放つ 株式会社プログミー
お子さんにプログラミングを教えていてこのアイディアを思いついたという石橋康大さん。ブロックを組み立てるように学ぶプログラミング学習に、複数人でアクセスできて共同編集ができて、しかも出来上がったゲームをマルチプレイすることができるという世界初のシステム!
シードなの?というぐらい、プロダクトとしての完成度も非常に高かったですね。
すでにベータ版は教育現場などで展開されているそうで、今後はもっと市場を獲得して、世界進出も視野に入れられているそうです。
学びという文脈でコクヨとの親和性が高そうでしたねー。今後、プログラミング教育はますます重要になっていきますし、文具=学びのツールのプロであるコクヨと連携することで、互いにメリットがある取り組みになりそうですね。
まとめ
8組の熱いピッチ!制したのは、なんと僅差で二組。Dots for Inc.さんと、株式会社プログミーさんが勝者となりました。ここから1年、応援させていただきたいと思っています。審査員の高野さんは「最近は、自分は何に貢献できるんだろうとよく考えています。22年ビジネスをしてきて、たくさんのいいつながりから売上やアライアンスを得る経験をしてきました。今日もひとつのきっかけだと思いますので、何かあれば声をかけてください。」とコメント。まさにエンジェルですね。
また審査員の守屋さんからは、「1位を獲るためじゃなくて、みんなが未来に向かって価値を創ることに邁進するってことが大切だから、選ばれても選ばれなくても、引き続き生み出していってください。事業が実現されるのを待ってます。」と愛あるコメントをいただきました。
最後に我らがボス、黒田英邦氏の総評です。
「短い時間ですごくシンプルにご説明いただきましたけど、みなさんの思いとか背景が深く濃く伝わってきて、感動してしまいました。本当にすごくいい刺激をいただきました。ありがとうございます。受賞にかかわらず、みなさんのこの情熱をかたちにしていく過程で、なにかご縁がいただけるなら、僕らも嬉しいなと思いますし、みなさんに負けないように頑張っていかないと!と思いました。」
ほんとにそうですね。参加者のみなさんが、それぞれ横のつながりを得てくださっていたり、コクヨも社外の優秀な方達と触れ合えたり、貴重な機会だったと思います。 それでは『登龍モヴ』また次回!お会いしましょう!