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シードステージ限定ピッチイベント『登龍モヴ2024』開催レポート!!!
2024年2月24日 渋谷ヒカリエにて、スタートアップを応援したいコワーキングスペースCreative Lounge MOVと、オープンイノベーションの種を探しているコクヨ株式会社(MOVの運営母体)で共催した、シードステージ限定ピッチイベント『登龍モヴ2024』。
優勝者には、オフィス支援、会社設立支援、メンタリング支援など、1年間の全面的なバックアップをご用意。その熱いエネルギーで、MOVのコミュニティも盛り上げてもらおう!という、企画です。
予想を遥かに超えるご応募をいただき、急遽5組から8組に増枠して開催した最終ピッチを制したのは、株式会社JOYCLEの小柳 祐太郎さん。ほか、それぞれ親和性の高さが基準となるMOV賞には、The PODの浅見 浩志さん、コクヨ賞には発想法株式会社の黄 慶浩さんが選出されました。
さまざまな視点から社会課題にアプローチしたハイレベルなプレゼンを、モデレータを務めた株式会社natowa 千田 弘和氏とふりかえりながら、最後は受賞者のコメントで締めくくりたいと思います。
登壇者のみなさん
赤ちゃんの泣き声を解析するアプリ『あわべび』
社会人学生としてMBAを取得され、医学研究科に所属されていたという経歴もユニークですし、実際に保育園に行かれ、523名の方にヒアリングしたという行動力もすごい!全国的に産後うつのリスクが高いという某都道府県での実証実験もされてるっていってましたね。
感情は、画面上の泡の色でわかる仕組み。ぶくぶくまるい泡のUIにも癒されましたね。4人のお子さんを育てた審査員の竹内さんからは、蓄積したデータの活用法についても質問がありました。
データはベビーモニターのようなベビーテック市場への転用も視野に入れているそうですね。産後うつにアプローチしている事業も多いですが、泣き声に国境はないそうなので、泣き声に特化した第一人者として、ぜひ世界に羽ばたいてほしいですね。
資源と喜び(JOY)が循環(CYCLE)する分散型ごみ資源化インフラ 株式会社JOYCLE
優勝された、株式会社JOYCLE 小柳 裕太郎さん。人口が減っている影響で、産業廃棄のコストがあがり、ゴミがたらいまわしになっている現状を解決するために考案されたのが、分散型ゴミ資源化インフラ ということでした。ゴミを運ばずに資源化できるアップサイクルプラントということなんですが。
すごいのは、このプラントがゴミを資源化する際のコストカット効果や、脱酸素効果などのデータをリアルタイムで可視化できるってところ!これは国内初のシステムだそうです。これからはカーボンクレジットの価値もどんどん上がってくるし、導入企業は増えていきそうですね。
(カーボンクレジット、ググりました。)まずはプラスチックゴミの排出が多い病院をターゲットとしていくそうですが、創業10ヶ月で石垣島など8件の実証実験が内定されてるそうで、注目度の高さも伺えますね。
ピッチの完成度も高かったですし、今後、MOVで応援していくのが楽しみですね。
お寺の事務管理DXで、地域コミュニティを創出 株式会社TERA Tech Inc.
ずばり!お寺×テクノロジーでTERA Tech Inc. 森 篤史さん。私はぜんぜん身近になく知らなかったのですが、お寺って葬儀や法要だけじゃなく、さまざまな地域活動もされているんですね。森さんご自身も小さい頃は近所のお寺が遊び場で、年越しを過ごすのも恒例行事だったそうです。
お寺関連の事業いいですね!お寺と一般の檀家さんのつながりは、年回忌法要だったりするわけだけど、紙のリストから該当の方を探し出してリマインドするのも大変だし、檀家さんのほうも教えてもらえないとうっかり機を逃してしまう。だんだん地域と疎遠になっていってしまってる現状をなんとかしたい!ということで提案するのが、お寺の事務管理のDX。
回忌のお知らせのタイミングがダッシュボードで把握できたり、手作業だった郵送作業をWEB上で発送できるようにしたり。いいこと満載なんですが、嬉しいのはデジタルに慣れていない方にも優しいUIと機能。導入のハードルは下がりそうですね。実証実験では、回忌をきっかけにご縁と依頼率が18%アップしたそうです。
市場も大きいですし、マネタイズもしっかり計画されてました。魅力的な事業アイデアですね。現代版の寺子屋のような広がりを見据えているということですが、故人を偲ぶ機会がご縁になって近所に知り合いの大人が増えると、親子ともに安心できていいですよね。
お祭り情報アプリ『MatsuLi』でもっと世界を滑らかに。The POD
The POD 浅見 浩志さん。Airbnbを営んでいた時期、海外のゲストからの「この辺でお祭りやってない?」に回答できなかったことがきっかけ。地域の人しか知らないようなローカルでユニークなお祭りを、Google Mapみたいに今いる位置情報と一緒に検索できちゃう、お祭り情報アプリ『MatsuLi』を開発中です。確かにお祭りの情報って『ねぶた』とか『だんじり』とか、けっこう有名じゃないと見つけられないですよね。
お祭りの情報を、AIで自動的にアップデートする仕組みを想定しているそうですね。ユーザーが写真を投稿できるので、行ってみて残念!みたいなことも防げたり、アプリを通して好きなお祭りにドネーションできる機能は、知らない人にあまり来て欲しくないと思ってる地元の方の説得材料にと、いろいろ対策も考えられていましたね。
わたしも異国の旅先で、たまたま声をかけてくれた人が3ブロック先でやってたローカルなお祭りに誘ってくれたことがあって。それって知らないと出会えない瞬間なので嬉しかったんですけど、幸運じゃなく狙っていけたら旅はもっと楽しいだろうなと思うので、ぜひ海外までサービスが広がってほしいです!笑。
いろんな国籍の方が利用しているMOVとも親和性ばっちりで、MOV賞っていうのもいいですよね。実装は難ししそうだけど、できそうな気がしますし、拡大してるインバウンド市場と一緒に勢いづいてほしいですね。
中国三坑少女のための新ガーリーファッション 株式会社パンダビジョン
エンタメを通じて世界の誰かを笑顔にしたい!エンタメ業界で20年のキャリアを積んだ株式会社パンダビジョン 佐野 篤さんのプレゼンは、いま中国で急成長している三坑ファッション市場への参入!三坑ファッションとは、漢服、ロリィタ、JK制服のことで、佐野さんが狙うのは次のトレンド、地雷系ファッション!中国で注目されているロリィタ起業家とタッグを組んで、ブランドを立ち上げようとされています。
三坑ファッションは中国では2兆円市場!そこで日本のブランドが盛り上がるのは嬉しいですよね。現地で活躍しているインフルエンサーなどと繋がりがあるのも、強みになりそうです。現段階ではサンプル制作は終わっており、日中で実施した事前アンケートでも好評みたいですね。
生成AIを導入して、デザイン工程を短縮しているそうです。審査員の黒田さんは「コクヨも中国向けに文房具をアレンジして販売したら、ヒットしたけど類似品が作られちゃったので、気をつけてください」っていってましたね。
実体験に基づいてるいいアドバイスでしたね。ビジネスプランも良かったですし、ぜひ日中の架け橋になってほしいですよね。
発想教育を義務教育に 発想法株式会社
終盤戦6人目は、発想法株式会社というユニークな社名の黄 慶浩さん。もう、登場してすぐ会場の空気を掌握しましたよね。プロダクトの紹介で、マス目の大きな作文用紙『マスオ』を使った発想法を、日本の義務教育に取り入れてほしい!というプレゼンでした。これ、A4サイズが15マスに区切られた、ジャバラ式の用紙なんですね。会場でもこれを大きく広げられて。
ある方法のもとマス目にどんどん考えを書いていくと、思考の爆発がおきて、それが連鎖して発想がひろがるのだそうです。黄さんはこの発想法により、1年で13件もの特許発明を繰り出した!すごすぎる!!実際に作文が苦手な子どもでも『マスオ』を使えばスラスラ書けるようになるので、この作文法をぜひ義務教育に取り入れてほしい!と。学びの分野でも事業を展開しているコクヨとは相性がよさそうです。
実際「コクヨさんの前でプレゼンするのが7年前からの夢でした」っておっしゃってましたね。気になる発想法については説明がなかったので、ピッチが終わってからみんなでレクチャーを受けていたのが印象的でした。Youtubeチャンネルを見つけたので、みなさんもよかったら。笑。
審査員の守屋さんからは、プログラミングの義務教育化にも携わっていた(!)ので、その辺りの知見で力になれるかも、というコメントがありました。コクヨ賞をきっかけに、なにか一緒にできるといいですよね。
呼吸法を習慣化してパフォーマンスを向上 株式会社シンコキュウ
会場の空気をまたもや変えた、株式会社シンコキュウ 三好 賢聖さん。呼吸法を習慣化して、メンタルヘルスとパフォーマンスを向上させよう、というプレゼンでした。三好さんは宇宙工学などを学んだのち呼吸法について研究され、ブテイコ呼吸法のインストラクターにも認定されているそうで、現在、深呼吸誘発 IoT デバイス『シンコキュウ』を開発中です。
私自身も感じるんですが、パソコン作業に集中すると、呼吸が浅くなったり止まったりする。これはスクリーン無呼吸症候群というそうです。そんなときにデスク上の『シンコキュウ』が、適宜、深呼吸を促してくれる。アプリじゃダメなの?と思うけど、確かにそんなに集中してる時にアプリ立ち上げようとはならないし、実際に健康系アプリの継続率は1日後で20-30%も落ちるというデータも投映されてましたね。
三好さんは運動共感の研究もされていて、このデバイスも思わず一緒に呼吸してしまうんですよね。ベーグルのような円盤型で、上半分が静かに持ちあがるときに吸い込み、下がっていく時に吐き出す。音も香りもないので、今はできないというときは無視することもできる。わたしプレゼン中もずっと深呼吸していて、聞くだけでも効果あったみたいです。笑。
ヘルスケア産業の市場規模も年々大きくなっているし、プロダクトのレベルも高いですよね。現在はユーザーの呼吸をセンシングする機能の開発も進めているそうです。市場でお見かけする日も近いかもしれませんね。
令和の共働き世帯の小学校受験を合格に導く 株式会社マジカルパス
ラストは、応募1番乗りだった株式会社マジカルパス 高木 秀さん。いまや全体の71%が共働き世帯。そんな現代の小学校受験が抱える課題、いかに効率的に学習するか、またその学習状況をどう可視化するかに着目した事業アイデアです。小学校受験ということは、受験生はまだ幼児ですよね。塾などに通っていても、週6日は家庭学習になるのだそうで。
共働きで、受験準備につきっきりになるのは難しい。それを解決するのが『マジパス』ということですね。アプリなんですけど、アナログな部分もあり、お子さんが取り組む課題はプリンターから定時に排出されるペーパーテストなんだそうです。習慣づけの意味もあるとか。結果をスキャンすることで学習状況が可視化できて、苦手な部分や合格までの道筋をプランニングできる。
小学校受験をする家庭が15万世帯もあるってことにびっくりしました。中学校受験の過熱や、少子高齢化も影響してるってまさに令和!仕事と子どもの教育との両立を目指す『マジパス』は、今後も重要になってきそうですね。
塾と連携し、プリンターやインクメーカーとも提携するサブスクリプションモデルを想定されていましたね。チームのバランスがよくスキルも高いですし、コクヨとも親和性がありそうですね。
授賞コメント
『登龍モヴ2024』、各賞を受賞されたみなさんのコメントをどうぞ!優勝された株式会社JOYCLEの小柳 祐太郎さん。
今回はこのような有難い賞を頂き、誠にありがとうございます!私たちJOYCLEは「資源と喜び(JOY)が循環(CYCLE)する社会を創造する」をテーマに企業・大学・自治体など多くのパートナーの皆様と、分散型アップサイクルを通じた社会変革に向けて動いているスタートアップです。今回、有難いことにMOVで多くの素敵な出会いを頂くチャンスを頂きましたので、この好機を逃さずにフル活用し、渋谷区から、日本を、世界を、変えれるムーブメントを起こせるよう、全力を尽くして参りたいと思います。どうぞ引き続き、JOYCLEをよろしくお願いいたします!
MOV賞の、The PODの浅見 浩志さん。
あたたかいピッチイベントに参加させていただき、ありがとうございました。評価者のアドバイスがとても参考になりました。これを機に、起業、そしてサービス拡大を目指して頑張ります!今後ともよろしくお願いします。
コクヨ賞の発想法株式会社の黄 慶浩さん。
この度は貴重な場をご提供いただき、誠にありがとうございました。私は「コクヨ社長 黒田様の前でピッチをしたい」という目的で参加しましたが、普通は大企業のトップの方の前で5分間もピッチができる機会はないため、大変ありがたく、本当に貴重な機会をいただけたと思っております。私以外にも「黒田様の前でピッチをしたい」と考えているスタートアップは多いはずなので、ぜひ継続で開催いただければ幸いです。
参加者のみなさんも、それぞれ横のつながりを得てくださっていたり、運営チームも熱いピッチにたくさんの刺激をもらえた、貴重な機会でした。関わってくださったすべての方、ありがとうございました!!最後に、おまけのショット共にお別れです。『登龍モヴ』また来年お会いしましょう!