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シードステージ限定ピッチイベント『登龍モヴ2025』開催レポート!!!

スタートアップを応援したいコワーキングスペースCreative Lounge MOVと、コクヨ株式会社(MOVの運営母体)で共催する、シードステージ限定ピッチイベント『登龍モヴ』。2025年2月22日、MOVがある渋谷ヒカリエにて開催しました。
優勝者には、オフィス支援、会社設立支援、メンタリング支援など、1年間の全面的なバックアップをご用意。ローンチに向けて成長しながら、その熱いエネルギーでMOVのコミュニティも盛り上げてもらおう!という企画です。
審査員は、新規事業家 守屋 実氏、株式会社キープレイヤーズ代表 高野 秀敏氏、コクヨ株式会社代表取締役 黒田 英邦、さらにゲスト審査員として、ROARS代表のKay(ケイ)氏にもご参加いただきました。おなじみMOVてんちょうとMOVメンバーで構成されたオーディエンス団も。

今回も距離感ちかめの会場構成。温かい空気感で開催しています。
総応募は過去最多の32組。本当はみなさんに来ていただきたかった...なんとか7組まで増枠し、最終ピッチを迎えました。
それぞれの視点、立場や想いから社会課題にアプローチした熱いプレゼンを、モデレータの株式会社natowa 千田 弘和氏とふりかえります。
登壇者のみなさん
男子バレエでジェンダーフリーな未来を作りたい 新川 良羽


トップは初めての試み。高校1年生16歳のバレエダンサー新川良羽さんのチャレンジピッチでした。4歳からバレエをはじめてさまざまなコンクールに入賞、14歳で床バレエのインスタラクター取得れている新川さんですが、男性であるために大変だったことも多かったそうです。そこで!これからは男性ものびのびとバレエを続けられるジェンダーフリーな未来をつくっていきたい!というプレゼンでした。

もう、その応募しようという思いが嬉しいですよね。審査項目の一つである「代表者の熱意となぜその人がやるのか」というポイントが明白でダントツでしたし、大人たちを前にしても、堂々としていましたよね。

バレエの演目が、男性がいないと成り立たないものであることも、初めて知りました。まずはバレエ男子たちのためにステッカーで受け入れ先を明確化したりコミュニティやECサイトを構築したりする一方で、ダンサー育成アプリなどを通じてバレエ男子の認知とファンを拡大していきたいそうです。

審査員長の守屋さんからは、できるだけたくさんの可能性を試すこと、同じようなことをしてうまくいかなかった先人の話を聞いて、できたら仲間になってもらうこと、など具体的なアドバイスがありました。素敵な方なので多くのファンを味方につけてがんばってほしいですね。

応募があったときに感動してしまって、ぜひお話を伺いたいと思いました。いつかバレエも拝見したいです!
廃棄物から水素へ!世界を変えるゴミZEROプロジェクト 株式会社BIOTECHWORKS-H2


2組目は、廃棄物から水素エネルギーを生成して世界を変える!というすごいプロジェクト。株式会社BIOTECHWORKS-H2の仁谷美喜さん。現在、資源としてリサイクルできるのはゴミ全体のわずか20%。残り80%のリサイクルが困難な有機性廃棄物に着目して水素→エネルギーへ変えていくということで。実際に取り組むのは水素を抽出しやすくするための前処理の部分ということでした。ゴミって水素になるんですね!

私もAIに聞いて少し調べてみたんですが、廃棄物をガス化する技術自体はすでに確立されているんですね。そのうえで、"前処理"という領域にフォーカスしている点に、すごく可能性を感じました。プレゼンの構成や伝え方もとてもわかりやすく、完成度が高かったと思います。

審査委員一同、唸ってましたもんね。ほんとに偶然なんですが、会場にいらしていた昨年の優勝者、JOYCLEの小柳さんからも、おなじゴミ処理分野のスタートアップとして、かなり具体的な質問がありました。

とても核心を突いた濃い質問でしたね。資本も必要で、簡単な分野ではありませんが、社会的意義もマーケットも非常に大きいテーマです。こうして人と人がつながることで、日本発の世界に羽ばたくビジネスが生まれていくといいですね。

ピッチイベントでも複数の受賞歴があり、ウォール・ストリート・ジャーナルにも取り上げられたそうです!すごい!
旅をしながら学ぶ学校「NIJIN HIGH SCHOOL」株式会社NIJIN


3組目は株式会社NIJINの浅野 紘毅さん。従来の学校制度では実現が難しい、ビジネス体験や地域が抱える課題解決の体験を通して、居場所としての選択肢を広げる「NIJIN HIGH SCHOOL」を開校予定ということでした。すでに不登校の方がオンラインで学べるオルタナティブスクールも運営されているそうです。旅をしながら学べるってもう魅力的でしかないですが。

学びの領域ということで、コクヨとの親和性がありそうでしたね。審査員の高野さんからは、学校に行けるようにする支援との違いについても質問がありましたが、不登校に関する問題は注目されていますよね。

子どもたちに日本の未来に希望をもってほしいという思いもあるそうです。ゲスト審査員のKayさんからは、高校卒業と同等の資格が得られるのかという質問がありました。確かに親御さんとしては気になるポイントですよね。

学びの多様性は必要だと思う一方、ビジネスとして考えると顧客は誰でニーズは何なのかという視点はとても大事ですよね。気づきの多い質疑応答でした。

元高校教師というキャリアをお持ちの浅野さん。現場を知っている強みもありそうですね。
未来の商品アイデアがわかる「FUTURE STORE」SEEDER株式会社


未来がわかるタイムマシンを開発中!というワクワクする始まりでしたSEEDER株式会社 王 銘浩さん。従来、9〜18ヶ月くらいかかる商品開発の期間をわずか1ヶ月にすることで、膨大にかかる資金や時間や人といったリソースを削減しつつ、しっかりと市場にささる商品を提案してくれるサービス「FUTURE STORE」を開発中。夢みたいじゃないですか!

まさに未来を先取りする発想ですね。実現できると、これまでの常識が大きく変わるでしょうし、大企業だけでなく、スタートアップや個人にもチャンスが広がりそうですね。

ただのAIではなく独自の調査で得たレポートを「秘伝のタレ」的に融合しているとおっしゃってましたね。気になる〜!

Kayさんからは、ただAIに聞くのと何が違うのか説明できるといいという、鋭いコメントがありました。秘伝のタレをどのように作ってきたのか、その価値を説明できるとサービスへの信頼感もぐっと高まりそうです。これからに期待ですね。

3〜5ヶ月後の未来を予測した商品の登録数は100万個以上!すごすぎます。
我が家の記憶をお守りに「お守りBOOK」日常キロク製作所


日本の空き家問題に向き合った、日常キロク製作所 鈴木 さとみさん。住みてがいなくなってしまってからではなかなか対応が難しい、かといってまだ住んでいるうちに「家どうする?」とは聞きにくい。大切な家への思いと思い出を1冊のブックレット「お守りBOOK」に綴りながら、物件だけじゃなく心の整理にも寄り添ってくれる優しいサービス。

家は単なる建物じゃなくて、家族の歴史や記憶が詰まった場所。その想いを形にして残すという発想が、本当にあたたかいなと思いました。住まいの未来を考えることが、心の整理や家族の対話にもつながる、素敵な取り組みですね。

製作物というより対話することに重点を置かれているとおっしゃってました。身内じゃなくて第三者というところも、適度な距離感でいいのかなと思います。また「お守りBOOK」は、ページをつぎたせる仕様になっていて、未来のことも継ぎ足していけるのがいいですね。

込められた想いが本当に素敵なだけに、今後事業が拡大していく中で、そのクオリティをどう保ち続けられるかが重要なポイントになりますね。守屋さんもおっしゃっていましたが、目先の数字だけではなく、本当に心が動くものが提供できたかをKPIとして捉える姿勢は、ぜひ大切にしてほしい視点だと感じました。

緊張されていましたが、気持ちのしっかり伝わるプレゼンでした!
知性と感情を持ったAI名刺「Supawave」リーディング&カンパニー株式会社


エンジニアさんとお2人で登場したリーディング&カンパニー株式会社 夏目力さん。知性と感情を持って自分の代わりにマッチしそうな相手を探し、交流までしてくれるという生成AIを搭載した名刺を開発中。これまでは企業と企業をつなぐものだった名刺が、個人と個人をつなぐものになる!というアイデアでした。

プロフィールが自動で更新されるのは、とても便利ですね。手動での更新って意外と手間で、つい後回しになってしまうものなので。さらに、AIエージェントが人脈までつないでくれるという発想には、まさに未来を感じました。

何はなくともデータベース!ということでまずは100人にインタビューをしたいと。実はお2人は以前MOVを使ってくださっていた元MOVメンバーさん。コワーキングスペースはチャレンジにぴったり!と応募してくださったそうです。忙しそうにしていて話しかけにくかったりしますけど、これだったらお仕事している間にもコミュニティに参加できますね。

「僕らみたいな無愛想な人でも、周りの人と交流できる」っていうのが、すごく印象的でした。ずっとそばに静かに立っていた新田くん(エンジニアさん)の存在も意味が伝わってきたというか。まずはコワーキングというリアルなコミュニティの中で、どこまでワークすることができるのか、ぜひ実験してみたいですね。

技術系の質問に備えて同席されていたというエンジニアの新田さん。存在が気になりすぎました。
社会とお茶の新しいつなぎ方をつくる Blue Farm株式会社


ラストは、Blue Farm株式会社 青木大輔さん。400年以上続くお茶生産農家のご出身というバックボーンと、新規事業開発やIR部での戦略立案に携わっていた経験を融合し、茶業と企業の課題を双方で解決しようという事業アイデア。具体的には企業が既存の飲料をBlue Farmのお茶に置き換えると、茶畑の保全ができて、環境貢献にもつながるという仕組みでした。

お茶ということで、スイッチングコストが低いことに可能性を感じました。ご実家が農家ということで説得力もあるし、賛同してくれる農家さんともつながりがありそうでしたね。

茶畑は温室効果ガスの削減にもつながっていて、導入企業はその削減率をダッシュボードで可視化できる、ということで「ChaaS」というネーミングもよかったですよね。

Kayさんから拡販方法に関する質問がありましたが、ご本人もそこに課題意識を持たれているようでしたね。大企業では、コストを重視する購買担当と、サステナブルな取り組みを推進する部門が別々であることが多いので、その間をどう橋渡しし、横断的な意思決定を促すかが重要なポイントだと感じました。課題が明確だからこそ、これからの展開に期待が高まりますね。

お持ちくださったBlue Farmさんのお茶もいただきました。美味しかったです!
各賞と受賞コメントをどうぞ
全員一致で高得点!優勝されたのは株式会社BIOTECHWORKS-H2>さん。仁谷 みきさんのコメントです。この度はこのような素敵な機会と賞までいただき本当にありがとうございます。各登壇者のピッチを熱心に聞いてくださる審査員やオーディエンスの皆様の姿に、このイベントに対する熱い想いを感じました。私たちBIOTECHWORKS-H2も熱い想いを胸にこれからも活動してまいります。廃棄物がごみではなく、新たなエネルギーの資源となり豊かさと喜びになって皆様のもとへ戻ってくるような世界を作っていきたい。今回のイベントを通していただいた人との出会い、リソースをフルに活用しながら私たちが廃棄物の新しいスタンダードを築いてまいります!これからも応援よろしくお願いいたします!

MOV賞には、MOVでの実証実験について具体的なPRをしてくださったリーディング&カンパニー 夏目 力さん!
ゆるい感じで、あまり緊張せずピッチができたのでよかったです。まだまだ実験段階で、いろいろ試してみたいと思っていますので、ぜひインタビューさせてください。

コクヨ賞は、大緊張しながらも人生初のピッチ挑戦された、バレエダンサー 新川 良羽さん!
とてもいい経験になりました。審査員の方々も優しく接してくださり、フィードバックがすごい勉強なったので、これからもっと頑張ろうと思いました!ありがとうございました。

関わってくださったすべてのみなさま、ありがとうございました!!
最後に本企画を支えてくださっているみなさんのショットでお別れです。『登龍モヴ』また来年お会いしましょう!

本当は優劣をつけるのは好きではない新規事業の神さま 守屋さん

スタートアップ全体のレベルアップを感じているというエンジェル 高野さん

個人的に、毎年一緒にピッチを開催できて嬉しいです!我らがボス!

"思い強めの実業家"(ご本人談)として、コメントにも愛があふれていた Kayさん

会場を温かい空気に導く名ファシリテーター 千田さん
