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転職だけが正解じゃない!?
自分らしいキャリアアップの見つけ方 ーモヴ百景 其の八景
誰だって楽しく働けるほうがいい。それは間違いないけれど、いろんな理由で実現できていない人もいる。そういうときの頼れる味方 株式会社ディーセントワークの高橋秀成(たかはし ひでなり)さんは、転職支援を生業とするキャリアアドバイザーだ。条件のいい就職先を紹介するだけでなく、その相談者さんにとっての"理想の働き方"ってどうなんだ?というところから寄り添ってくれる、兄貴のような(と、ちょうど2年前にも紹介してた)存在だ。
これまで延べ3万人もの人の転職相談を受けてきた凄腕の高橋さんだが、実は昨年くらいから"転職"への考え方が変わってきたようで...? 高橋さんの近況も含め、気になるその心境の変化を、MOV店長がうかがいました。モヴ百景* 其の八景です。
高橋 秀成|Hidenari Takahashi
東京生まれ、横浜育ち。高校卒業後は大学に行く意味を見出せず、フリーターを経て20才でリクルートの営業に。その後、求人広告代理店の1期生の経験を経て、メディア経由ではなく、直接雇用に関われる人材業界を志望してエージェントに転職。「ママが働きやすいように」「男性も家庭を大切にできる環境を」と言っている社長さんが多いけれど、その社長さん自身がそういう環境を作れていないのを感じ「自分がその環境を作って見せられれば、何か変わるんじゃないか」と思い、2015年に株式会社ディーセントワークを設立。2018年には株式会社リクルートキャリア主催の"GOOD AGENT AWARD"にて 特別賞「女性の自己実現サポート賞」を受賞。また、AIを活用したエンジニア向け求人サイト「Mewcket」のアドバイザーや、渋谷のBar Olimのオーナーも務める。近況といえば、まずはMOV市。おつかれさまでしたー。4年連続4回目の出場はどうでした?
よかったですよ。今年は本業のキャリアカウンセリングをメインにして、恒例の妊婦体験はオマケくらいの感じで。
相談者さんたくさん来ました?
そうだね。ディーセントワークのブースが目的で来たって方が多かったね。カップルとかご結婚されてる方。だから思ってた以上にニーズはあったんだなと思います。
具体的にはどんな悩みだったんですか?
「結婚しようと思うんですけど今の収入だとどうなんだろう?」とか。漠然としてるもんね。出産とか介護みたいなライフイベントは未確定なわけじゃない。例えばあの会社に入ります!とか、起業します!っていうのは確定要素だけど。
結婚して出産したいと思ってても、実際にできるかどうかはわからないから、どう考えたらいいのかわからない。わからないことに対して不安になる人は多いよね。そういう声に寄り添うような、まぁ、うちらしい相談会だったと思う。
それから今年は「自分らしいキャリアの作り方」というトークショー企画も。出演者はお二人とも以前に高橋さんが転職支援された方なんですよね。なぜあのお二人を?
働くママさん向けのキャリアセミナーとかやると、キャリアも生活もピッカピカのママさんが登場したりするんだけど、それって誰の話してるの?って感じでおもしろくないじゃない。せっかくならもっとユニークな人をと思って、村井くんと山中さんをお誘いしたんだよね。だって10年で8回転職してる人とか、なかなかいないからね。笑。
「なし崩し的に起業していた(村井さん)」とか「仕事は旅先で決まる(山中さん)」とか、自由でしたよね。でもやってみるって大事だなと思いました。
怖いもの知らずなんだよね二人とも。ああいう人たちは意思決定力がすごいじゃない。やるぞっていったらやる。そういう人って周りの人を惹きつけるし、自分もそうなりたいって思わせる。でも実際どうしたらなれるんだろう?みたいなところがわかっていただけたんじゃないかなと思います。
うん。なんとなく"すごい人"じゃなくて、紆余曲折があって今こうなってるっていうところが見えましたもんね。それにしても山中さんの「(就職した先に)楽しそうに働いてる人1人もいなかった」って、うわー言われたくないなーって思いました。楽しく働こうって。笑。
笑。オブラートにまったく包まないからね。村井くんや山中さんは「え、そんな話でいいんですか」って感じだったけど、等身大の話が聞けてよかったですね。
ところで高橋さん!めでたくオフィスも新設して、いよいよMOVを卒業すると伺ってましたが?
まさかの契約続行!笑。オフィスあるのにね!
いや、ありがたいんですが!笑。なぜかなって。
いろいろ考えたんだけど、自分たちがやってることって、認め合う働き方を広めるための転職支援。今まで3万人くらいに会ってきて最近よく思うのが、会社に全てを求めるやり方は難しいんじゃないかなってこと。人も、お金も、やりがいも、会社が人生みたいな生き方は、もはや実現できない人がたくさんいて。
キャリアアップって、ライフとワークを両方叶えようってことなんだけど、それをライフに寄せようが、ワークに寄せようがそれは個人の自由じゃない。例えば子育てに集中したい人だって、ワークが停滞してるわけじゃない。ライフはステップアップしてるんだから、それはキャリアとして進んでいるよね。
うんうん。
それに未経験のことだってやってみたい。歌手やアイドルやってみたいとか、村井くんだって今ブラジリアン柔術をやっててバッキバキのシックスパッカーなんだけど、そういうのって"転職"っていう観点ではできない。でもできないからやめてくださいっていうのは、変だよね。
たしかにそうですね。
叶えられないからやらないんじゃなくって、叶えるためにどうしようって考えたときに、コミュニティの重要性ってすごくある。コミュニティに属さないとできないことって割とあるなって気づいたんだよね。これはもう"転職"じゃないなと。
コミュニティに接続する機会があれば叶うかもしれない。お金になるかは別として、少なくともその人は今よりはアップデートされるわけだから。そういう意味でコミュニティは大事だなって思って、じゃあそれはどこだ?って思って、ああMOVだって。
やっっっっっと、MOVのよさに気づいたんですね。笑。
やっっっっっっっと。笑。転職相談に来る人の中には、俺じゃもうどうにもできないって人もいる。キャリアアドバイザーにも限界はあって。だって、ずっと彼氏にフラれ続けて仕事が嫌になっちゃった人に頑張れって言ったって頑張れないじゃない。
そこじゃないもんね。根本が。
そういうときに、MOVみたいなコミュニティが転機になるかもしれないなと。例えば、フードロスっていうソーシャル・イシューに大人顔負けの気迫で向き合ってる若者たちがいたり。
完全に"酒屋"側のモチベーションで、日本酒を紹介するWEBサービスを作ってるチームがあったり。そうかと思えば、いなり寿司だけをストイックに突き詰めて極めちゃった、いなり王子みたいな人がいたり。
30年くらいずっと新規事業をつくり続けている守屋さんとかね。もうすごい方なわけだけど、そんな人が言う「大企業って素晴らしいし、大企業あってのベンチャー。世の中に新規事業なんてそうそうないし、これっぽい、あれっぽいの焼き直しだよね。」って話は俺自身にも刺激になったりしたし。
そういう人たちと、仕事とまではいかなくても、思いもよらないところで繋がっていければいいなと思って、MOVは維持しようと思ったんだよね。みんなで掛け算ができればいいなと。
お互いに利害関係がないから、隣の人の頑張りが刺激になったり、逆にサボってる人がいても気にならない。専門外のことで困っても近くにプロがいたりするのがMOVのいいところだねって、よく言われます!笑。
ほんとそうだよね。それと、独立してる人ってモチベーションの維持が難しかったりするんだけど、自分の社員には言えないじゃない「俺モチベーションさがってんだよね」とか。
社長がね。笑。
そういうときに少し話せたり。あとは違う分野の人から「いい取り組みされてますよね」とか言われるの素直に嬉しいんだよね。ちょっと褒めてもらえるって大事。サプリメント的にね。
なるほど。"働きがい"ですね。
SDG's(持続可能な開発目標)って最近はよく言われるけど、その8つ目に掲げられてる"ディーセントワーク"を目指してる自分たちの転職支援は、どうしてくのがいいのかなってことを考えたときに、コミュニティのようなものが大事になっていくんじゃないかと。
確かにコワーキングを運営してると、コミュニティをどうつくっているの?ってことはよく聞かれるかも。必要性というか、みんな興味はある。
そう。村井くんや山中さんも、いろいろ大変なことはあるけど昔より今がハッピーだと話してたじゃない?かたや、一流大学を出て一流企業に勤めてるのに、楽しくない、満たされてないっていう相談者さんは多い。何がこの差をもたらしてるんだろうって考えるんだけど、少なくとも学歴ではないし、経歴でもないし、年収でもない。
その違いを考えていてわかったのが、常にアップデートしてるかどうか、なのかなと。昨日より今日、先週より今週、去年より今年、時間軸はなんでもいいから、アップデートし続けること。年収や昇進でももちろんいいんだけど、去年より美味しいもの食べられるようになったとか、時間ができるようになった、彼氏ができたでもいい。少なからずアップデートし続けてる人たちが、いわゆるキャリアを充実できてる人たちなんだよね。
些細なことでもいいからってことですね。うん。
転職しようか迷って相談に来る人は、ご自身で判断しましょうって言っても、決められないことが多い。今の会社もちょっとアレだし、でも次の会社に行ったからっていいことがあるわけでもないし...
むにゃむにゃむにゃ...みたいな?
そういう人には「僕の手元にある、この書いてもらった職務経歴書、来年はどうかわってますか?」って聞いてみる。8割9割の人が「変わってないでしょうね」って答えるんだよね。そこが判断できない理由だと気づけてなくて。
3万人会ってきて、その理由がいちばん多いと感じますか?
結局のところそうだね。だから、何かをアップデートし続けることはすごく大事で。それにはコミュニティでないとできないこともあるだろうなと。
うんうん。アップデートでいうと、高橋さんの先輩でもある高野さんも、最近YouTuberをはじめましたもんね。
20年以上も転職支援をやってる先輩エージェントですけどね。誰もやってないことをやるって言って、人材会社でいち早く起業したのが彼。当時は職業紹介って組織でやるのが通例だったから、若い高野さんが1人でやるってことがセンセーショナルだったし、ちゃんと会社がまわってた。まだ"ベンチャー"なんていったら怪訝な顔されちゃう時代に。
今ほどキラキラなワードじゃなかった?
ぜんぜん!それでもベンチャーでやり続けて、さらに投資もやって。人材のバックグラウンドを持つ人から投資を受けるなんて聞いたことなかったんだよ。今では上場企業の役員までやって、上場の一助も担ってる。そういうキャリアアップしていく流れをつくったもの彼だから、影響力すごいですよね。
些細なことでもいいって流れから、ものすごい人をサンプルに出しちゃいました。笑。でもMOVにはそうやって動き続けてる人が多いかも。
しかもアップデートのサイクルも早かったり。1週間後には動いてたりするでしょう。そういうところに身を置いたり、それができてる人たちに触れるって刺激になるよね。だからワンタイム(1時間ごとに清算できるドロップインのメンバータイプ)でもいいから。笑。
ぜひぜひ。笑。最終的にステマみたいになったね。笑。ちょうど4月くらいからヨリモブキャンペーン(*)ていうね、ナイト&ホリデーのお得な3ヶ月パックてのをやるんですけど。ぜひね、サードプレイスにね。笑。
笑。でもほんとそうだよ。それこそいなり王子のような人とは、コミュニティでしか出会えないからね。貴重だよね。
いい職場だなと思います。自分でも。
実はMOVのコミュニティに関してはむしろ否定的だったという高橋さんですが、"ありかも"と気づいてからは、喫茶店でコーヒー飲むくらいなら、MOVで飲む方がよっぽど刺激あると思うようになったそう。
「会社帰りに寄るだけだって、見聞が高まったり広まったりする。ライフとワークを両立させるって、そういうことでも可能だと思うんだよね。」って、凄腕がいうんだから間違いない!笑。
人生において働く時間は長いけど、必要なのはなにも転職だけじゃないのかも。
モヴ百景とは...いろんな職種・人種が集まるコワーキングスペースMOVで、ついつい聞き入ってしまった誰かの話を、MOVらしさ=景勝地と言って紹介するコーナーです。もちろん、ご本人のご了承を得て記事にしています。