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モヴ百景 其の五景
新米が心得るべきフリーランスの鉄則とは??
MOVのオープニングスタッフとして副店長までのぼりつめたスタッフゆきちゃんでしたが、どうしてもやりたいことがある!と一念発起し、2年前からフリーランスに。憧れていた業界で修行を積みつつ、MOVにも週一で復帰して毎日楽しそうだったのですが、このところちょっと心配事があるようで..?
なにやらネットで検索していたゆきちゃんが発見したのはある方のお名前。「あ!フリーランスの神さま、MOVにいたね!」さっそくアポをとり、お話を聞いてみるというのでお邪魔しました。今回のモヴ百景は、悩める新米フリーランサー ゆきちゃんと、フリーランス協会 の理事である 守屋実さん のお話です。
いろんな職種・人種が集まるコワーキングスペースMOVで、ついつい聞き入ってしまった誰かの話を、MOVらしさ=景勝地と言って紹介するコーナーです。もちろん、ご本人のご了承を得て記事にしています。
年始におみくじ引いたんですよ。そしたら「用心に越したことはありません」「人のことは絶対に信じてはいけません」て書いてあって。笑。すごい怖くなったんですよね。
かわいいとこありますね。笑。大丈夫ですよ信じて。で、何屋さんなの?
展示企画業務っていうお仕事をフリーでやってます。でもフリーランスってだれも守ってくれないじゃないですか。今後どうしていけばいいのかなと思って、調べていたら守屋さんのお名前を..。
守屋 実 / Minoru Moriya
フリーランスって信用調査上弱いじゃないですか。会社に所属してると、会社の保証が会社員である個人にもつくんだけど、フリーになった瞬間に会社の保証がなくなるから、信用調査上、落ちる。借金とかもできなくなるし。
そうか!家建てられない。マンション買えない。ローン組めない。車も買えない?
車ぐらいいけるかもしれないけどね。いずれにしても、フリーランスってその人の与信をとるためのルールがないから、みんな結構困ってたりとか。
そうですよね。今までなんだかんだ企業に属していて、ふとフリーランスになった時に、はっ!てなりましたね。
労働関係の法律は「労働者は弱い」っていうのが大前提でできてる。なにかやらかすと、世の中からは会社が怒られて、労働者は守られるようになってるんですよ。でもフリーランスになったとたん労働者じゃなくて法人と対等、法人格扱いになっちゃうから、その瞬間にぜったいに苦しい構造になっちゃうわけ。
うんうんそっか。
労働者としてのあらゆる保護から外れちゃうから。かわりに自由だっていうこともあるんだけど。自由の見返りと、多くのセイフティーネットが外れることを両方考えないと。
わかります。
両親の介護とか、とくに女性でいうと、結婚とか出産とかっていうとき、法人の下にいるといろんなセイフティネットがあるんだけど、それ外されちゃってるから、休んだら休んだ分だけ所得がなくなる。
ほんとにね、どうしよう。
だから法整備が必要なんですよ。で、そういうのを働きかけてるのがフリーランス協会です。ビジネスのために好きで独立したんだから、一定程度のビジネスリスクを取るのはわかる。でもなんでライフリスクまで取らないといけないのっていう話で。フリーランスにもそういうセイフティーネットがあっていいんじゃないのかって国に働きかけたりとか。
今いっぱい情報がきて、理解するのに30分くらいかかります。笑。
フリーランス協会もね、別にみんながフリーランスやったほうがいいとは思ってないんですよ。ビジネスリスクを取らない方がいい人も世の中にはいると思うから。普通に雇用下に置かれた方がいい人もいると思うんで。
よくわからなくてとか、雇用下から追い出されてとか、そういう望まぬフリーランスは、ちょっと危ないところがあるなと。リスクの認識がなくって、いざフリーランスになってみたら、いろんなセイフティーネットが外れて驚くみたいな話はよくあるから。
フリーランスの鉄則 1
自由の見返りをしっかりと把握すべし!
私がいる業界は、大学を卒業して大きい組織に入れなかった人は派遣みたいな感じでこの業界に入るんですけど、正社員とおなじくらい対等に働いて残業もするけど契約が3年しかない。3年を過ぎると、おなじ会社にいれるかどうかは企業が決めるから、もし継続しないってなったらフリーになるしかないんですよね。おなじくらい働いているのに、なんかちょっと不利だなって。
きくち ゆきえ / Yukie Kikuchi
三度の飯より心配性なゆきちゃん。石橋を叩いておいて渡らないことも多いけど、思い立ったら急に行動に移すことも。MOVでは、ひそかにスタッフ日記を更新ちゅう。気になる方はこちらをチェック ☞「ゴミ箱の上の #へーー」
業務委託契約とかになると、働き放題っちゃ働き放題なんだけど、逆にいうと働かされ放題にもなるから。「これじゃダメ」って言われたらやり直すしかないもんね。
そうなんです、難しいですね。デザインとかだと技を磨くってところがあるから、経験を積むためならお金もらえなくてもいいやと思っちゃってる人が多いかも。
それはフリーランスとして、一定程度なら使い勝手のいい手だとは思うんですよ、最初に仕事をとるときに。別にやっちゃいかんことだとも僕は思ってない。ただそれが、悪用されることが多いんで。お試しお試しお試しお試しで、ただで使われただけじゃん、みたいな。
それはよくない。でも私はちゃんとお金もらってるわ。笑。
よかったね。笑。
法人にはそれぞれ弁護士とかスタッフがいて、ただ働きみたいにはならないけど、フリーランスは一個人だったりするから。そんな経験持ってたり、スタッフがわんさかいるわけじゃない。よくわからなくて、なんとなく案件が進んじゃって、気づいたらあれまぁってことはあり得るんで。仕事を始める前に契約を結んでおくことが大事。
せっかくフリーランスになって、さぁやるぞっていうときに、最初のそういうとこでつまづくと、なんか嫌になっちゃうじゃないですか。だから、そういう人たちが危なくないように色々とサービスとかも揃えていってます。
一人でやってると相談できる相手がいないから、そういうのだいじですよね。
フリーランスの鉄則 2
みなし & お試し発注にご用心!着手の前に契約を結ぶべし!
今までフリーランスってあんまりいなかったから。国としても動くほどの単位じゃなかったんだけど、さすがにこれだけ増えてくるとね。フリーランス向けの国保とか、フリーランスなりの与信の理屈とか、考えていかないと。例えば、このフリーランスが会社員になったら、これくらいの年収ですよって測ってもらえば、なんとなく計算できるじゃないですか。
そしたら報酬の交渉もしやすいですよね。これぐらいなんだから、ちょっと上げてちょうだい、みたいな。笑。
交渉も個人だと弱くなりがちじゃない?業種によってはダンピングしがちだったり。それはあんまりよくないと思うんですよね。だから業界の平均的なプライシングとかも打ち出したほうがいいのかもなーとか。でも変に決めると、上昇志向の人は損しちゃうかもしれない。ビジネスリスクを取って自由にやってるわりに価格統制っぽいことをすると、それはそれで変な感じになる。
たしかに。
そういうところをどうするのが一番いいのか、みんなで考えながら一生懸命、進んでます。
ね、どうしようね。どうやったら楽しいかなぁ?
たぶんフリーランスの人にとって、いちばん参考になる人って、自分のちょい先をいってる人だと思うんですよね。ぜんぜん商売の種類がちがうと、参考になるっちゃなるけど、ならないっちゃならないじゃない?
うんうん。
だからやっぱり似たような職種のほうが参考になると思うんですよ。今、僕50なんですね。いくつか知らないけど..
32です。
20年も離れてる。職種も違うわ、年齢も違うわ、性別も違うわでしょ。それなら30代ぐらいの女性でフリーランスになって5、6年経ちましたみたいな人、しかも同じような仕事をしてる人のほうが参考になると思うんですよ。そういう、お互いに話ができるとか、フリーランス同士の交流ができる環境もつくってく。
うんそれいいです。聞いてみたい。
フリーランスの鉄則 3
見習うはちょい先をいく同士!お互いに助け合うべし!
僕が出した本にも書いてるんだけど「会社のプロじゃなくて、仕事のプロになろう」と。今、倒産する会社って、だいたい23.5歳で倒産してるんですよ。だから、大学卒業して設立1年目の会社に入ると、基本的に45歳ぐらいで潰れる。
えええええーー!
会社のプロで生きてきて、45歳でその会社がなくなると、46歳からまた次の会社のプロで生きないといけない。22歳のこれからと46歳のこれからだったら22歳を雇うと思うんだよね会社側は。
そう思います。
会社のプロで生きるなら、潰れない会社で、なおかつ勝ち上がっていければいい。だけど、そうじゃない場合はけっこうキツイよね。昔はよかったんだと思うんですよ、人間も早めに死んじゃうし。でも今は会社の方がずっと早いサイクルで、ぽこぽこ生まれてぽこぽこ死んでる。で僕らがずっと長生きしちゃってるから。
うしろ詰まってまーす。ほんとだよね。私今、若いからさ、詰まってんなーって思うもん。
ごめんなさい。
あははは。守屋さんにいってない。でもそうか。今まで見てきた親のような、会社に勤めてずーっと真面目に働いて定年、みたいなのとは全然違う世界が待ってるんですよね。
たぶん令和の時代では、終身雇用ってほぼなくなるんじゃないかなぁー。だって23.5歳で潰れちゃうんだもん。だから一社に依存すると苦しい。これからは依存先がいくつかあったほうが、雇う側・仕事をだす側からしても、雇われる側・仕事を受ける側からしても、いいんじゃないかと思います。
これまで会社のプロたちは、一枚の名刺であらゆる仕事をしてたんです。終身雇用だし、人事異動でなんでもするから。〇〇社っていう名刺で、新規事業もやるし営業もやらされて、アレもコレもって。
みんな、おなじことできなきゃいけない。
なぜなら総合職だからね。昭和の時代はそれでよかったんだけれど、平成のあいだに、なんとなく世の中が変わってきちゃった。令和の時代は、一つの職種でいくつもの名刺を持つみたいになってくると思う。例えば僕だったら、新規事業っていう仕事しかしてなくて、でも複数の会社の名刺を持ってる。
みんながみんなとまでは言わないけど、その比率はけっこう多くなってくる。これまでそんなにいなかったから、放っておかれてたけど、フリーランスっていう人たちが、もうちょっと快適に動けるように、一個一個整備していけたらいいなぁと思ってます。
ぜひ、お願いします。今までは会社を選んでましたけど、どういう仕事をするかっていう視点で考えていかなきゃいけないですね。
企業に所属するってことは悪いことじゃないと思うんだけど、その企業の中で、自分はなにに軸足をおいてがんばるのか、自分の仕事はなんなのかっていうことは考えておいたほうがいいね。
フリーランスの鉄則 4
会社のプロではなく仕事のプロに!自分のプロフェッションを自覚すべし!
じゃあ最後に、フリーランスにむいてない人ってどんな人ですか。
自分の意思が弱い人。
ひゃ!私むいてないかも。笑。
やりたいことがあって、やれる環境を手に入れることがフリーランスだと思うんですよ。雇用されてる場合は、法人の構成員なんだから、その会社がやるべきことをやるべきなんです。だから、私はこれがやりたい、こうしたいっていうのをたくさん持ってる人はフリーランスに向いてますよね。だって自由だもん。自由は自己責任でもあるけどね。
それでいうと今、どう休んでいいのかわかんない。ずーっと仕事のこと考えちゃうっていうのをやめたいんですけど..。
僕ね、今年に入ってこのあいだまで62連勤。もうピュアブラックだから守屋実事務所。
あはははははははは!きれいな黒だわー。
フリーランスの鉄則 5
休むも働くも自己責任!自分の意思を強く持つべし!
だいぶ気持ちが落ち着いた様子のゆきちゃん。今後も好きなお仕事をめいいっぱいがんばってほしい(MOVでも)。
では最後に守屋さんのお話から得た、新米フリーランスの鉄則をおさらいします。
これから独立しようかなと思っている方、ぜひ一緒にご唱和ください。せーの!!
- 自由の見返りをしっかりと把握すべし!
- みなし & お試し発注にご用心!着手の前に契約を結ぶべし!
- 見習うはちょい先をいく同士!お互いに助け合うべし!
- 会社のプロではなく仕事のプロに!自分のプロフェッションを自覚すべし!
- 休むも働くも自己責任!自分の意思を強く持つべし!